Adobe CS4 Production Premiumで大きく変更となったのはディスクレコーディングソフトウェアOnLocation CS4。インテルMac版が登場し、ファイルベースワークフローのメタ情報管理にも対応。
Adobe CS4 Production Premiumで大きく変更となったのはディスクレコーディングソフトウェアOnLocation CS4。インテルMac版が登場し、ファイルベースワークフローのメタ情報管理にも対応。
アドビ システムズ(東京都品川区)は11月11日、映像制作者向けのスイート製品であるAdobe CS4 Production Premium日本語版を発表した。12月中旬に24万9千円(税別)で発売する。CS3スイート製品からのアップグレードは9万4千円(同)。
新バージョンのCS4 Production Premiumは、2年前に買収した旧Serious Magic製品を本格的にアドビの映像制作ワークフロー吸収した。CS3は、Serious Magicを買収後半年経たない段階での発表であったため、ワークフローの一部に活用するレベルに留まったが、CS4では完全統合を果たした。CS4 Production Premiumの製品構成は、 After Effects CS4、 Premiere Pro CS4、 Photoshop CS4 Extended、Illustrator CS4、Flash CS4 Professional、Soundbooth CS4を組み合わせ、ディスクレコーディングソフトウェアのOn Location CS4と、オーサリングソフトウェアEncore CS4だ。個々のソフトウェアを進化させ、さらに連携を強化することで、ワークフローをスムースにしている。残念ながら旧Serious Magic製品のバーチャルセットソフトウェアAdobe Ultra CS3はCS4に移行されず、構成製品から消えてしまった。
構成製品を詳しく見ていこう。インタフェースを含め、大きな変化を遂げたのがOnLocation CS4だ。On Location CS3では旧Serious Magic時代のテープ編集用業務機器パネルを模したインタフェースを一新し、ノンリニア編集で扱いやすいアドビインタフェースへと変更した。OnLocation CS3ではWindows版しかなく、Mac版はBootcamp環境での利用だったが、OnLocation CS4ではインテルMac環境も利用可能になった。
これまでDVとHDVに対応していたディスクレコーディングはDVCPRO HDにも対応し、新たにファイルベースワークフロー用にメタデータ管理にも対応した。P2、XDCAM、AVCHDといった最新ビデオカメラが使用するコーデックにもネイティブ対応を行っている。注目を浴びているRED ONEの対応については、北米リリースではネイティブ対応をうたっているが、現在、Adobe Systemsが協力してRED Digital Cimemaが開発中のプラグインにより実現する見込みであるとのこと。プラグインの提供時期は明らかにされていない。
Premiere Pro CS4とSoundbooth CS4には、スピーチサーチ機能が加わった。Premiere Pro CS4で映像素材のセリフを音声解析してテキスト化し、このテキストをメタ情報として利用することで、素材映像やタイムラインに配置した映像から発声個所を検索できる機能だ。アナウンサーのようなハッキリとした発声であれば、かなりの精度で日本語メタ情報化が可能になる。クリップの検索やラフカット編集、字幕作成、オンライン配信時のビデオ検索などに活用できそうだ。
ワークフロー面では、CS3で投入したAfter EffectsとPremiere Pro間でダイレクトにプロジェクトデータを反映させるDynamic Link機能を拡張し、 Soundbooth CS4、Encore CS4 へのデータ連携についても行えるようになった。Encore CS4では、DVD・Blu-rayのオーサリングに加え、Flashコンテンツのオーサリングにも対応している。これらの機能強化に加え、Device Central CS4で選択した携帯・モバイル機器についてAfter Effects CS4プロジェクトでも反映する形で、Device Central CS4とAfter Effects CS4の連携を強化。フィルムビデオのテープレスワークフローから、携帯・モバイルの動画編集、DVD・Blu-ray・Flashオーサリングまで、幅広い映像制作に対応できるようになった。