ソニー株式会社(東京都港区)はInter BEEにて、ブース展示フロアに加え、スイートルームにて3D制作ワークフローとその技術を初公開した。

ソニーブースでは大型スクリーンにて3Dコンテンツを観ることができたが、それを実現する実機はスイートルームにて展示されていた。この部屋では、撮影からスイッチング、編集、送出までの3D・高付加価値映像制作ワークフローを実現する各システムおよび技術が揃う。

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ラインアップされたシステムは、まだ商品化されていない参考出展のものばかり。中継用途に適したマルチパーパスカメラ『HDC-P1』2台をソニーPCL製カメラリグに実装した3Dカメラシステムをはじめ、立体視の確認・補正を可能にする3Dイメージプロセッサー、そしてプロダクションスイッチャー『MVS-8000G』シリーズに加え、L/Rの2系統を記録・再生できる『HDCAM-SR』デジタルレコーダー『SRW-5800』と各社ノンリニア編集機器が並び、ソニーが提案する次世代3Dプロダクションワークフローが構築された。

HDC-P1は、2/3型220万画素3CCDと光学2枚サーボフィルターを搭載した、小型・軽量の高画質HDカメラ。発売は2010年2月を予定している。このカメラに3D用シンクロ・ズームレンズを組み合わせた2台をリグに搭載すれば、3Dライブ中継ができるカメラシステムとなる。

3Dカメラからの収録・送出には、米Abekas社のプロダクションメディアサーバ『Mira』が使われた。Miraは、スーパーモーションカメラに対応することで、春のNABでは注目を集めた。Miraは4系統の入出力を持っており、今回は2系統づつペアリングする仕様で3D素材を収録。また、2台(L/R)の同系カメラで取り込んだ素材では、どうしても光軸のずれが発生してしまう。この補正を高速処理する3Dプロセッサーが参考出展されていた。

これら処理した素材はMVS-8000G側で制御、ノンリニア編集サイドの素材と一緒に送出される。3D素材の編集や制作にあたっては、SRW-5800から提供されたコンテンツをクォンテル製、アビッド製およびオートデスク製ノンリニア編集システムで編集、それらシステムとスイッチャー側が連携のとれるネットワーク環境が構築されていた。また、高性能マルチコアマイクロプロセッサ『Cell/B.E.』を用いた、マルチフォーマット/ コーデックのエンコードとトランスコードを高速処理するマルチフォーマットトランスコーダーも参考展示されていた。

その他、スイートルーム外には、56型の「TRIMASTER」採用の4K対応液晶モニター『SRM-L560』と、計測技研製の4Kディスクレコーダが展示され、隣の部屋では、デジタルシネマプロジェクターとRealD社の3Dデジタルシネマシステムで、3Dコンテンツ上映が開催されていた。