総務省は7月23日に、2011年(平成23年)7月24日の地上デジタル放送への移行期限に向けて、最終の1年間で必要となる体制の検討と実施すべき施策を整理した「地デジ最終年総合対策」を公表した。

総務省は、これまでも様々な環境整備・支援策を実施してきており、具体的には、全都道府県に受信相談・現地調査等の拠点である「総務省テレビ受信者支援センター(デジサポ)」を設けるなど相談体制の強化、エコポイントによるデジタルテレビの購入支援や経済的弱者に対するチューナーの購入等の支援による受信機の普及促進、共聴施設のデジタル化・新たな難視対策のための働きかけや調査、支援等を行ってきた。今回、最終年を迎え、これまでの取組に加えて、平成22年度内に特に重点的に取り組む施策をまとめた。主要項目として、残された世帯等への最終確認活動を始め、受信障害対策共聴施設(ビル陰難視)のデジタル化対応の加速や、公共施設のデジタル化、そして新たな難視対策等の加速やあらゆる主体と連携した取り組みを挙げている。

残された世帯等への最終確認活動としては、高齢者、低所得者などどのような世帯が、また、ビル陰施設やアパート・マンションなど、どのような施設が、どの程度の規模で地上デジタル放送に未対応かを本年末までに集約する。最終確認活動を行ってもなお、来年7月のアナログ放送終了間際に対応する方が集中することに備え、来年7月の体制に万全を期する。そのため、1000人規模の地デジコールセンター体制、全国1000か所程度の身近な臨時相談コーナーの設置、ボランティア等による高齢者等への最終確認活動、そして郵便事業株式会社等と連携した高齢者等100万人への働きかけといった、一日最大60万の問い合わせに対応できる体制を整える予算を年度概算要求に盛り込むことを検討する。

遅れている課題への対策としては、「ビル陰・地デジ協議虎の巻(仮称)」を作成して協議を促進するとともに、受信障害解消エリアでの個別受信移行やケーブルテレビ等への移行の円滑化を促進させるといった、受信障害対策共聴施設(ビル陰難視)のデジタル化対応の加速を行う。

また、新たな難視の対策計画策定のための地元対応や、辺地共聴施設のデジタル化対応等を一層加速する。そのため、ケーブルテレビの幹線整備や暫定的な難視聴対策の手法の追加(ケーブル加入対策)等の国の支援を拡充するとともに、関連の地方財政措置を拡充する。

経済的な理由によりデジタル化対応が困難な世帯への対応としては、NHK受信料全額免除世帯に対するチューナー等支援の周知徹底によりこれらの世帯のデジタル化対応を促進するとともに、地方公共団体が、地域の実情に応じた自主的な支援を行う場合に新たに特別交付税措置を講じる。公共施設及び公共施設等による受信障害施設のデジタル化も今年3月でまだ全施設数の40%にも満たないこともあり、目標に沿って本年中にデジタル化を完了するよう取組を加速する。

あらゆる主体と連携した取り組みとしては、日本放送協会(NHK)と民放事業者、デジサポに加えて、CATV事業者や地方公共団体、総務省以外の省庁、その他あらゆる主体と連携する。すべての地方公共団体に対する周知広報、公共施設のデジタル化対応等の依頼をし、ケーブルテレビ加入者の円滑なデジタル化対応や、未対応世帯からの相談を実際の工事へスムーズに促すために、地デジコールセンター等への相談を円滑に電器店、工事業者等に紹介する仕組みについて検討するという。