12月に韓国で開催されるSIGGRAPH ASIA 2010が主催する、HDRベースの光源技術のパイオニア、ポール・デベヴェック(Paul Debevec)氏による特別講演が9月16日に慶應義塾大学日吉キャンパス協生館にて開催される。
「From Spider-Man to Avatar, Emily to Benjamin: Achieving Photoreal Digital Actors」と題するデベヴェック氏の講演では、自身の研究を通したCG世界の洞察やインタラクティブ技術について語られる。
デベヴェック氏は現在、南カリフォルニア大学内のクリエイティブ技術研究所のグラフィック研究部長と、同大学ビタービ工学部のコンピュータ理学の研究助教授を務めており、HDR(ハイダイナミックレンジ)イメージベースのモデリングとレンダリング技術の先導者として知られている。1996年には、写真からフォトリアルな構造モデルを生成するイメージベースのモデリング/レンダリングシステム「Façade」を発表、バークレー大学のバーチャル・シネマトグラフィー(SIGGRAPH 97の作品)「The Campanile Movie」で起用された。この技術はその後、ハリウッド映画「マトリックス」の連弾シーンのバーチャル背景にも採用されている。
デベヴェック氏の研究するHDRベースの光源技術は、オリジナルアニメーション「Rendering with Natural Light」、「Fiat Lux」と「The Parthenon」に活用したのち、初のHDRイメージ編集プログラムとして開発された。デベヴェック氏の最近の研究成果としては、アンビエントと入射光といったCGで活用できる現実世界のイルミネーションを記録するメソッドをもとに開発された、人面の外姿をデジタイズするデバイス「Light Stage」で、これにより、2010年にアカデミー科学工学賞を共同受賞している。デベヴェック氏が研究してきた技術は、映画マトリックスの他にも、「スパイダーマン2・3」、「キングコング」、「スーパーマン・リターンズ」、「アバター」に採用されている。
講演は慶應義塾大学日吉キャンパス協生館の藤原洋記念ホールにて19時より行われる。参加申し込みは、メール(siggraphtokyo0916@ gmail.com)にて申し込むことができる。