ロンドンに拠点を置くポストプロダクションのDeluxe 142(元Ascent 142)では、カラーグレーディングのスイートルームをグレードアップ・リニューアルし、アシスト用システムとネットワークで結ぶことで分散作業を可能とした、より高い生産能力を持つカラーグレーディング環境を実現した。
Deluxe142は、これまでに「007/慰めの報酬」、「ナルニア国物語/第2章カスピアン王子の角笛」、「スコット・ピルグリム vs. 邪悪な元カレ軍団」といった、ハリウッド映画作品の編集に携わっている。Deluxe 142は、カラーグレーディングにブラックマジック製DaVinci Resolveを採用している。最新バージョン7.0がリリースされたことで、当初使っていたLinux版のResolveをアップグレードするだけでなく、DIワークフローを見直す検討として、施設全体をグレードアップすることを計画した。
英Jigsaw System社にシステム構築を依頼し、マスタースイートにあるLinux 版DaVinci Resolveは、ステレオスコピック3Dに対応可能な4GPUシステムへと拡張、オリジナルのサーバは中核のデータベースサーバ化した。S3DS対応、4GPUシステム構築のDa Vinciシステムを導入したのは、英国ではDeluxe 142が初だという。
同スタジオは、作業の効率化を図るため、この機にアシストシステムとして3台のMac ベースのDaVinciと2台の専用コントロールパネルを導入し、全てを中核データサーバとつなぎ、Linux版と共にカラーリストが作業する2室のシアターにもリンクさせた。全てをネットワークでつないだことでひとつのワークステーションで作業をすることに絞られず、Mac版でプリ・コンフォーミングを行うことでLinux版のシステムに余力を持たせられるようになった。
MacOSベースのResolveは、1GPU実装の2台、そしてCUBIX社のGPU-Xpanderを使って3GPUを実装させた1台に搭載されたシステムとなっている。Resolveは高性能のGPUでコンピュータークラスターを構成することで、あらゆる処理をリアルタイムで実行でき、4K解像度、ステレオ3Dネイティブ4Kの解像度やステレオスコピック3D、RED RAW R3Dファイルのダイレクトなリアルタイムグレーディングを快適に行えるという。