米民間非営利団体ATSC(Advanced Television Systems Committee:先進型テレビジョン方式委員会) は9月6日、次世代地上波デジタルテレビ放送システムの技術「ATSC 3.0」の開発と規格を行っていく新しい組織「TG3」を設立したことを発表した。
TG3では、現在進められているATSC 2.0プロジェクトを継ぐほか、モバイルDTVの規格設定を含め、ノンリアルタイム、IP放送の推進やS3D放送規格など、放送市場の新サービスのための放送仕様を長期にわたって開発していくという。「ATSC3.0は未発明の技術までも探っていく、未来のテレビジョン放送技術への道を切り開く重要なプロジェクトである。」と、ATSC団体代表のマーク・リシェ氏は発表文で述べている。
リシェ氏は、ATSC 3.0が「既存の放送システムと互換性がなくなる傾向」であるとし、それによりTG3では、プロダクションシステムとの相互運用性と非放送配信システムについて検討するべきであると説明した。TG3は今年7月にATSC理事会で執行が決定となり、9月2日より会員に承認された。Triveni Digital社のリチャード・チャノック氏が議長を務めたTG1と呼ばれる最初の組織が、ATSC2.0の促進を含め、新技術の開発などを推し進めていくという。TG3の議長には、PBSの先進技術担当ディレクターであるジェームス・クツナー氏が任命された。クツナー氏はATSC3.0準備委員会でも議長を務めており、ATSC役員、SMPTEフェロー、IEEEの会員であるほか、モバイルビデオ連合の技術顧問団の副議長でもある。
ATSCは1982年に結成され、地上波におけるデジタルテレビ規格、制定を行っている。米国では2009年にNTSC方式からATSC方式へ全面移行されており、この方式は米国のほか、カナダ、メキシコ、大韓民国で採用している。150社近い業界企業が会員となっており、日本企業名(アメリカ社)としては、シャープ、ソニー、東芝、パナソニック、三菱やNHKが参加している。