米グラスバレー社は10月12日(現地時間)の午後に行われたカンファレンスコールで、オランダ出身のIPプレイアウト・プラットフォームを開発しているPubliTronic社を買収することを明らかにした。買収額や条件などの詳細は公表されていない。
PubliTronicは1997年、オランダのアーペルドールンに設立。初期から統合プレイアウトシステムをヨーロッパ市場へ投入している。以後、小規模のディザスターリカバリーシステムから大規模のマルチチャンネルサービスのプロバイダー向けのシステムまで扱うようになり、現在は合計約800チャンネルが駆動しているという。
今後はグラスバレー社のプロダクツ担当副社長のCharlie Dunn氏が指揮をとることになる。PubliTronicの主力製品「Nexus」は、1Uラックサイズ、Linuxベースシステムのプレイアウトサーバー。今後はグラスバレーブランドとなり、グラスバレー社のK2製品ファミリの一環として「K2 Edge」サーバーに生まれ変わる。
ライブプロダクションやニュース、送出用メディアサーバとして使われているK2メディアサーバに、K2 Edgeはオートメーション機能を加え、グラフィックフィードやマルチチャンネル化することができる。「K2 Summit」トランスミッションサーバーは既存のようにコンテンツのインジェストやアーカイビング、従来の送出の管理などに、そしてK2 Summitと「K2 Solo」もライブプロダクション、ニュースや中継用サーバーとしての位置づけのままとなる。
「統合プレイアウトシステムは、単純に既存のオートメーションシステムにPCを追加するものではない。既存の顧客のニーズに応えるため、特に全てのオンスクリーン要素を管理する送出チャンネル設計向けに、我々のブランドでのシステムインテグレーションをアプローチしたかった」とDunn氏は説明している。
統合プレイアウトは放送市場で急速に成長している分野の一つで、この先3年間でも引き続き拡大していくと予測されている。今年に入って、Pixcel Power社やHarris社からも同分野の新製品をリリースしている。ケーブル、衛星や通信業者のマルチチャンネルサービスのプロバイダーや、デジタルチャンネルを持つ放送局にとって、マルチチャンネル用の自動化プレイアウトシステムは着目されるとしている。同社は親会社のフランシスコ・パートナー社と共に、ポテンシャルの規模に期待し、このセグメントを拡大戦略の一部として注目をしているという。
K2 Edge統合プレイアウト・ソリューションは、冗長性構成もとれるオプションも揃い、11月から出荷できる予定。価格は25,000米ドルから。
(山下香欧)