米アップル社がスウェーデンを拠点とする地図技術企業C3 Technologiesを買収したと米国で報道されている。C3 Technologies(C3T)を買収することは、2011年8月以来、アップルファンのブログサイトでうわさされていたが、実際の買収は昨年行われていたという。C3Tはもともと2007年、SAAB社が投資して設立したベンチャー企業。SAAB社ではYouTubeにてC3Tの技術デモを公開している

NyTeknik(スウェーデン語サイト)では、C3TがSAAB社から、ある企業に売却されたと伝えている。このサイトではC3Tの価値は約10億ドルだと説明しているが、情報筋によると約2億4000万ドルだとも言われている。SAAB社は7月19日にC3T売却による資産売却益について発表しており(PDF)、約933万米ドル(6億900万kr:72億円)の増資ができたと述べている。SAAB社はC3T社株の57.8%を保有していた。

9To5Macによると、C3 Technologiesが保有するポートフォリオには、従来は軍事機密扱いだったミサイルターゲッティング技術に基づく3D地図が含まれるという。独自のアルゴリズムで、ストリートビューレベルの写真データ、2D地図データや衛星データなどを組み合わせてフォトリアルスティックな3D画像を自動化生成する。

アップル社にとってマッピング技術を持つ企業を取得するのは2009年以来、3度目。2009年には、独自のマッピングソフトウェアを開発していたPlacebase、昨年は3Dマッピング技術を持つPoly9社を買収している。昨年買収したPoly9とC3Tの3Dマッピング技術を取り入れ、iOSの次世代マップアプリケーションに反映されることは間違いない。アップル社が昨年買収したSiri社の音声技術をiPhone 4Sに音声アシスタントとして搭載したように、遠くない将来、A4/A5チップパワーを活用した画期的でパワフルなモバイル端末用クラウド3D地図が登場するかもしれない。

2011年2月バルセロナで開催されたモバイル・ワールド会議でのデモ

(山下香欧)