日本SGI株式会社は14日、株式会社WOWOWのフルHD高画質ファイルベース送出基幹システムの中核となるコンテンツサーバーシステムを納入し、同システムが10月1日より本番稼働を開始していることを発表した。

送出基幹システム全体は株式会社東芝と共同で開発。日本SGIは、番組や放送素材などのコンテンツサーバー部の設計と構築を行った。コンテンツサーバー部は、テープ・ファイルで搬入される番組、CM、テロップを取り込み、一元管理する大容量蓄積システム。多くのコンテンツ登録時に位置情報やメタデータを取得し、またサムネイルを生成することで一元管理及び検索が行える。

ファイル化された番組やCM素材は米Harmonic社のOmneon MediaGridアクティブストレージ・システムに冗長化された状態で格納され、最大でおよそ5,000時間分の番組を蓄積することが可能としており、これはアジア・パシフィック地域での最大規模の蓄積容量だという。

素材の取り込みや検索、字幕登録には、日本SGIが独自に開発したソフトウェア製品群を使用し、合計16台のRackableStandard-Depthサーバーで処理が行われる。放送時には、高速ネットワークで接続した東芝構築による送出サーバシステム(VIDEOS neo)にファイル転送され、送出される。同社では、高い映像品質をファイル化によって劣化させることなく、MXF OpenGOPを採用する等、高品質収録システムの構築を実現したとしている。

今回のシステム構築における技術統括を担当したWOWOW技術局送出技術部チーフエンジニアの田辺弘久氏は、今回の発表に合わせて次のようにコメントを寄せている。

「ハイビジョン3チャンネル放送スタートに伴い、2006年から設備更新の検討を開始し、業界の動向を捉えつつも、最終的には送出設備におけるファイル化という業界でも新しい試みを取り入れる事となりました。今回のシステムでは、放送サービスの向上と安定運用、HDTVでの複数サ-ビスへの対応、コンテンツ運用/管理の次世代モデル導入(テープ運用からファイル運用への転換)という3つのコンセプトを掲げました。日本SGI社にはファイル化検討の初期段階からご協力いただき、設備構築に当たっては東芝社と日本SGI社の優れたシステムインテグレーションにより満足できる結果となりました。今回は送出設備におけるファイルベース化となりましたが、最終的には局内の放送素材の完全ファイル化を目指していきたいと考えています」