1000万以上の加入者を持つ、英国衛星放送局British Sky Broadcasting(BSkyB)が、今夏までにマルチスクリーンTVサービスを開始することが明らかになった。
新しいサービス名や詳細は明らかにされていない。同社は2005年から携帯電話へのストリーミングサービスは開始していたが、今回の新サービスはBSkyBの加入者でなくてもサービスを受けられるというもの。現在、同社はSky Goやthe Sky News iPad appでニュースが観られるサービスを加入者向けに提供している。
Netflixは世界規模対応として英国とアイルランドを最初に選び、既にサービスを開始している。アマゾンは昨年1月に、ビデオストリーミング事業を拡大することを目的に欧州で映画のインターネット配信やDVDレンタルサービスを手がける英LoveFilm社を買収、そして英国放送局BBCもデジタルプラットフォームを展開している。増す市場ニーズと、競合となるサービスの展開が盛んになってきたため、BSkyBは新たな戦略を見出す必要がでてきた。
BSkyBでの新サービスは、米Disk Network社が展開するブロックバスターのストリーミングサービスとは志向が異なり、新たな加入契約を必要としない、バリエーションある価格形態で提供していくという。この動きは、消費者が受けるOTTサービスのインパクトを和らげようとする意図があるという。BSkyBの昨年第二四半期での新規加入者は40,000世帯。アナリスト達が予想していた数19,000世帯からほど遠い結果となった。これは2010年同時期に比べて10万世帯も少ない。英国を含むヨーロッパでのLovefilmの加入者は2百万人以上。また、英国では無料サービスを展開しているBBCのiPlayerとChannel 4の4oDも人気だ。
BSkyB社の最高経営責任者Jeremy Darroch氏は、ペイTVサービスの非加入者に新しいチョイスを提供するもので、同社にとってもSkyのフルサービスを必要としない新規の顧客にリーチできる新しい方法だと語り、今回の展開は既存のビジネスを脅かすものではない、という。
(山下香欧)