デジタルライツ・ロッカーと呼ばれる技術および著作権情報を預かるサービス「UltraViolet(ウルトラ・バイオレット:UV)」は今年になって5万人のユーザー登録数を増やし、現在、米国80万世帯がUVのIDを保有しているという。

米市場調査会社IHSによると、昨年10月からウルトラ・バイオレット仕様のDVDやブルーレイソフトが発売されて以来、順調に一般消費者の間に浸透してきているという。

UVはDVDなどでコンテンツを購入したユーザーごとに、そのコンテンツのデジタル著作権を保護・管理できる。そのため、ユーザーは一度、UV側に所有するコンテンツとデバイス情報を登録しておけば、何かの事故でコンテンツのソフトが破損しても、登録しておいた他のデバイスにコンテンツを転送し、再生することができる。登録できるデバイス数は12つまで。このフォーマットを採用しているソフトを供給しているのは、ワーナーホーム・エンターテインメントおよび傘下のFlixster、ソニー、ユニバーサルとパラマウント・ピクチャーズである。

今年1月に米ラスベガスで開催されたCES以来、米国のUVのID保有者数は5万人ほど増えているという。各ユーザーは1.25タイトル分を登録しているため、コンテンツライブラリには100万を超える。昨年iTunes、Xbox LiveやVuduといった、オンラインでコンテンツ販売をするサービスから販売されたデジタル映画コンテンツ数は約1900万。もしこのままUVの浸透が進めば、消費者はもっと映画を購入するだろう、とHISは予測している。映画コンテンツの販売が伸びることは、デジタルレンタルやNetflixにようなストリーミングサービスの成長に直面している映画スタジオにとっては、非常に重要なことだ。映画スタジオは収益のほとんどをコンテンツ販売から得ている、とHISは説明する。

UVは今後、Flixsterと連動するパナソニック製のスマートViera TVおよびブルーレイプレイヤーやサムスン製のブルーレイプレイヤーで対応できるようになる。またアマゾンからも年内にUV対応のタイトルをオンラインで販売する予定だ。UVデータベース管理を開発したNeustarでは、昨年末に Catalystという映画コンテンツ販売サービスも開始した。

(山下香欧)