米Harris社は5月1日(現地時間)に発表した2012年第3四半期決算報告書の中で、放送通信機器を扱う部門を売却する計画を承認したことを明らかにした。

Harris社は創業117年の歴史を持つ企業だ。印刷機器から宇宙・軍事向けの通信システムへ市場視野を拡げ、民間および国家情報機関のIT・情報技術の総合カンパニーとして、1950年からはGates Radio社を買収して放送関連市場にも参入。その後も順調な送信関連企業のM&Aにより、放送関連事業の扱う製品群は多様に増えていった。2000年からはデジタルアセット管理を中心に、ファイルベースの放送ワークフローを担うシステム開発会社を吸収している。

第3四半期での放送通信機器部門の営業損失は4.06億ドル。対して昨年同時期の営業利益は2500万ドルであった。RF通信部門、政府通信システム、そして放送分野を含む総合ネットワークソリューションの営業損益の中で、放送通信機器部門のみが損失を出している。同社の総事業規模は約60億ドル。この放送機器部門を除く2012年会計年度の収益を現在54.5億ドルに設定している。

「当社は、市場革命となるソリューション技術を開発する自社事業への投資により支えられている。放送通信事業に関しては残念ながら、当社の中核となる事業と長期戦略にそぐわなくなってきてしまった」とHarris社の部門担当社長ハリス・モリス氏は外部関係者宛に送った報告で述べている。

同社は放送通信機器部門の売却を決めた今後も、引き取り先が決定するまで、中間的にも同社の一部門として引き続き顧客へのサービスを含めビジネスを続けていくとしている。

(山下香欧)