第39回目を迎えるSIGGRAPHの基調講演者として、「幸せな未来はゲームが創る」の著者で現在Institute for the Future (IFTF:未来研究所)のゲームリサーチ&開発担当ディレクターであるジェイン・マクゴニガル女史が選ばれた。

女史は、代替現実ゲーム(ARGーAlternative Reality Game)を使って、飢餓・貧困・紛争・肥満問題などを抱える「壊れてしまったな現実(実世界)を立て直す」ための研究を続けている、ビジュアルゲームデザインの一人者。35歳という若さでありながら、SuperBetter Labsのチーフクリエイティブオフィサーである。

代替現実ゲーム(ARG―Alternative Reality Game)とは、現実生活をより楽しくするために、バーチャル環境ではなく現実でプレイするゲーム。マクゴニガル女史曰く、オンラインゲームに夢中になるプレイヤー達は「現実の世界では失敗を恐れて、困難な問題に立ち向かおうとしないが、ゲームの中では実力以上の力を発揮する」傾向が強いという。こういったプレイヤー達が集まれば、現実世界の問題を解決できる、というのがARGの効果であると説明している。

マクゴニガル女史が携わったオンラインゲームは社会実験とも言われ、大反響を及ぼした。特に2007年にリリースした『Superstruct(スーパーストラクト)』は90ヶ国以上の国で8,000 人がゲームに参加し、具体的な解決策を500以上も生み出した。同作品は地球上の人類には、あと23年しか残っていないという設定のゲームである。

Siggraphでは、マクゴニガル女史の基調講演は”今年のテーマの完璧な例示”と紹介している。基調講演は8月6日の11時から、ウェストホールBにて。

(山下香欧)