日本放送協会(NHK)では、新たな材料を組み合わせることにより、省電力と実用的な寿命を兼ね備える赤色発光有機ELデバイスの開発に成功した。今回の研究の一部は、総務省の委託研究「究極の省電力ディスプレイ実現に向けた高効率・長寿命有機ELデバイスの研究開発」として実施したもの。

有機ELデバイスの発光材料にはイジリウム錯体が使われているが、今回は白金錯体を用い、ホスト材料として新たにベンゾキノリン誘導体を用いた材料を組み合わせることによって、従来のイリジウム錯体を用いたデバイスに比べて、3分の1の省電力化と7倍の長寿命を実現したという。NHKは今後、赤色発光有機ELの省電力・長寿命特性をさらに向上させる開発と、緑色・青色発光の有機ELデバイスの試作を予定している。

NHKは、いつでもどこでも放送番組を視聴できるようにするため、有機ELデバイスを用いた超薄型で曲げられるフレキシブルディスプレイの研究開発を進めており、これらの各色有機ELデバイスの開発により、フレキシブルディスプレイの早期実現を目指すとしている。

NHKは9月11日から開催される「第73回応用物理学会学術講演会」にて、今回の研究成果の報告をする予定。

(山下香欧)