100周年を迎えたシャープではCEATEC2012において、大型テレビや有機ELディスプレイ用として注目を集めている酸化物半導体IGZO(InGaZnO)を実装した液晶ディスプレイを、アプリケーションごとにラインアップ展示している。同社では、今までIGZO技術に関しては専門技術のイベントや内覧会で紹介していたが、今回のようなコンシューマ向けの国内展示会でのラインアップ展示は初めてだ。

今春に本格的生産化を発表した、業務用の32インチで4K (3840×2160ピクセル/140ppi)の液晶モニター、a-Siとのスペック比較のコーナーでは6.1型(2560×1600/498ppi)から10.8型(1366×800/147ppi)パネル、そして実用商品化の可能性も検討されているという10.1型(2560×1600/299ppi)と13.3型(2560×1440/221ppi)のIGZOタブレット、7型(1280×800/217ppi)による”電子ステーショナリー”を展示しているほか、ブルーレイの映画コンテンツやオンラインゲームのタイトルを、32型4Kモデルでディスプレイし、液晶テレビAQUOSでも採用されている光配向技術を活用した高精細、高品位表示をアピール。

121003_Sharp3_13_3V.jpg

IGZOタブレット

ブースでは、「高精細、低消費電力、高感度タッチパネル」の特徴を、従来の水素化アモルファスシリコン(a-Si)製のディスプレイと比較展示を行っている。IGZOでは休止駆動ができる。回路オフ時はリーク電流がほぼ遮断できるため、回路のオン/オフにかかわらず電流が流れ続けるよりも電力効率が非常に高い。a-Siの場合は、休止駆動を用いるとオフ時の動作性能から書き換え時にフリッカーが発生してしまう。従来の液晶では、60Hz (1秒間に60回)ごとに画面の書き換えを行うが、IGZOで画面の動きがほとんどない場合は、比較して最大1/5程度まで消費電力を低減できる。(写真)

高感度タッチパネルについては、従来は液晶パネルからノイズが発生してタッチパネルの検出精度に影響を及ぼしていたが、フリッカーのないIGZOでは、休止駆動の間はノイズが発生しないため高感度に検出が可能だ。たとえば、指爪でタッチパネルを触ると、a-Si液晶ではノイズが邪魔をして検出値が判りにくいが、IGZOでは一定のノイズの上にタッチした結果が明らかに判る。

121003_Sharp1.jpg

現在、同社は三重県亀山市の亀山第2工場においてすでにIGZO液晶パネルの生産を開始しており、シャープによると、年内にもいくつかのモデルが商品化される見通し。

(山下香欧)