CES2013は大型・超高画質テレビの元年となったが、そのほかにもシャープ社やパナソニック社のようにスマートTVの能力を引き伸ばし、ユーザーに合わせて利用方法をパーソナライズする仕様を実装したテレビ製品の展示が目立った。

ケーブルや衛星サービスを介してテレビ番組を視聴することが主流の米国市場では、それらのインターネットサービスを活用できる、インターネットTV(スマートTV)の浸透率が著しく伸びている。ネットワーク対応に加担し、OTTサービスやモバイルデバイスとのインタラクティブ性が強調されている。

シャープでは5-6/7/8シリーズという3シリーズ展開で60型から80型のクワトロンモデルの大型テレビがラインアップ。デュアルコア・プロセッサの高速処理を活かし、HTML5とFlashに対応、市場初のスプリットモードを実現した。同じスクリーン上でテレビ番組を見ながら片方でネットサーフィンができる。この技術はシャープのヨーロッパと日本が共同で開発したという。

またNetflixとパートナーシップを組み、シャープのスマートTVが採用する独自プラットフォーム「Smart Central」を利用して、スマートフォン上でNetflixのコンテンツのプレビューや、テレビリモートコントロールができるアプリが用意されている。 更にモバイルデバイスからテレビに内蔵されているWi-Fi経由で、写真やビデオデータを転送してテレビ側で鑑賞できるインタラクティブ性も持ち合わせている。これら新機能を実装したモデルは、3月から順に市場へ投入される予定。

2010年から60型クラスの大型テレビが市場に登場し、北米市場において当初の60型(それ以上のクラス)のテレビセット市場シェアは4%だったが、現在は20%まで成長しているという。シャープでの大型テレビの売上は、倍増という。

フェイシャル認識機能

一方、パナソニックのビエラTVでは、YouTubeビューイングとフェイシャル認識機能が新しく実装された。同社では「ビエラ・コネクト」プラットフォームでのユーザビリティに焦点を当て、パーソナライズページMy Homeスクリーンを作り上げた。VT60プラズマとWT60 LCDテレビであれば、搭載しているカメラから視聴する人を認識し、その人のオリジナルのホームページをスクリーンに立ち上げる(添付写真。左は本社の津賀一宏社長)。パーソナライズしたページでは、学習した各視聴者の好みのコンテンツを紹介する。親と子供とでは違うスクリーンが立ち上がるというわけだ。

また「Swipe & Share」の新バージョン2.0では、モバイルデバイスのスクリーンに表示した写真やビデオを指でスワイプするだけでテレビスクリーンに転送できるパフォーマンス豊かな使用を取り入れた。新プラズマTVモデル(ビエラ ZT60, VT60, ST60, S60 シリーズ) は、オプションで電子タッチペンが揃う。写真への編集や手書き入力が可能で、編集後はタブレットなどのモバイルデバイスへデータを戻して活用できるため、プレゼンなどのビジネスユースでも大いに活用できる。

同社はYouTubeと提携し、モバイルデバイスでログインをわざわざしなくてもビエラTVの大画面でYouTubeコンテンツを視聴できるようにした。またホームショッピング・ネットワーク(HSN)とも提携し、ビエラTVからHSNの製品を直接購入できる仕様を搭載する。同社の新モデルTVは32種。年内に売り場に並ぶ予定としている。

パナソニック北米法人のパナソニック コンシューマエレクトロニクス社の北島 嗣郎(しろう)社長はCES開催初日に行われたプレスカンファレンスにおいて、「この短期間において、テレビは一方向のデバイスという立場からインタラクティブなコミュニケーションチャンネルを持つデバイスへと大きく変わった」と語った。また同社はCES催事前日には、スマートTVアプリの非独占的なエコシステムの構築を支援するSmart TVアライアンスに加盟したことを発表している。

(山下香欧)