韓国LG電子は、米Hewlett-Packard(HP)よりモバイルデバイス向けのOSであるwebOSを買収した。このニュースはバルセロナで開催されているモバイルワールド会議で共同発表された。買収金額については明らかにしていない。HPは、webOSの基本的なOS、インタフェース技術をカバーする特許を保持し、LGに使用ライセンスを供与する。
LG電子は昨年、HPのwebOSプロジェクトに携わる組織”Gram”と提携し、スマートTVへの実装を計画していた。
LG電子では、LGブランドのスマートTVのコアOSを始め、コマーシャルディスプレイやスマートカーデバイスとして採用していくという。スマートフォンやタブレット向けのOSとしては採用しない方向性も明らかにした。ただしLG電子は、今後もwebOSのオープンソース要素は活かしていき、Enyo開発プラットフォームも維持していくという。よって、サードパーティがスマートフォンやタブレット向けにwebOS用のポートを開発していくことは可能である。
スマートTVはスマートフォンとは違い、HTML5やWebセントリックなOSには非常に相性のよいプラットフォーム、とLG電子のスポークスマンは説明している。webOSを実装したLGブランドのスマートTVを2014年中には市場に投入する計画だ。現在のwebOSと同じユーザーエクスペリエンスを実装したいという。webOSによるタッチパネル方式とLGのポインター機能を持つマジックリモートコントロールを組み合わせ、またマルチタスクも強化するという。今回の買収により、LG電子側はハードウェアメーカーの立場からシフトし、ソフトウェア開発も展開していくことになる。
webOSは2009年に米Palm(パーム)からスマートフォン専用OSとして登場し、業界から脚光を浴びた。その後2010年に、PCからプリンターや携帯電話まで自社製品のコアOSにする目的でHPがパームを買収したが、1年でプロジェクトは終息、昨年でオープンソースへと転身していた。
(山下香欧)