GPU処理による高速性ライブ・VOD向けトランスコーダを提供する米エレメンタル・テクノロジー社は、放送事業者向けのITメディアサービスプロバイダーのdeltatre社(本社イタリア)と提携し、スポーツイベントのライブおよびVODストリーミング向けのターンキーシステムをワールドワイドに展開する。両社は、11日からブラジルで開催されている 放送事業者向けのスポーツ番組マーケットイベントSportelにて発表した。
両社はロンドンオリンピックやパンアメリカン競技大会、ラグビーワールドといった、世界規模のスポーツイベントのマルチスクリーン向け放送システム構築においてタイアップした実績がある最近ではフランス最大の民間テレビ局TF1におけるスポーツ番組のマルチスクリーン配信サービスのシステム構築も行った。
ターンキーには、エレメンタルの映像処理システムとdeltatreのDivaプラットフォームとビデオプレイヤーを組み込み、データの可視化とナビゲーションを統合したユーザーインターフェイスを持つ。放送事業者は、単一ビデオフィードだけでなく、たとえば同時間に行われている別チームの野球やサッカー試合など、マルチ映像配信を扱うことができる。また汎用のCDNや広告挿入システムとの構築も多様な実績があり、柔軟に対応できるという。スポーツ番組提供側はターンキー化されたシステムで、マルチスクリーンにおける広告やキャンペーンなど、マルチスクリーン視聴者からの収益を強化できるとしている。
4Kのテレビ放送の元年と言われる2014年には、冬季オリンピックおよびFIFAワールドカップといった世界規模のスポーツイベントが開催され、マルチスクリーンでのライブストリーミング放送も拡大するだろう。コムキャストやABCといった米国大手放送事業者のセカンドスクリーンサービスのヘッドエンドシステムを提供しているエレメンタルでは、次世代動画圧縮フォーマットHEVC(H.265)に対応することで、今後における4Kストリーミング放送の可能性を示唆している。
(山下香欧)