現地時間4月22日に米三大放送局のCBSが、地方局の番組のストリーミングサービスを支援するSynkbak社に投資したことを発表した

これは近状増えつつある、放送局のコンテンツを不正利用してインターネット配信されることを防御する一環であるとも捉えられる。投資額などの詳細は開示されていない。

Syncbakは3年前に立ち上がった新興企業。創立者のジャック・ペリー氏は放送信号をタブレットや携帯といったモバイルデバイスに配信する技術を開発したことでも知られている。現在、100か所の地方局を交えて実証実験している段階で、本格的サービスはまだ始まっていない。CBSは以前からペリー氏の技術プラットフォームに注目しており、開発に携わってきたという。

CBSをはじめ米国有数の放送局が団結してAereo社を告訴している。Aereoは昨年から限定地区で小さなアンテナを使ってABC、CBS、NBCなどの公共テレビ放送を受信し、それをWebに接続されたデバイスにストリーミングするサービスを行っており、放送局側は自分たちのコンテンツを許可なしに消費者に提供していることを不服としている。しかし合衆国巡回控訴裁判所(United States Court of Appeals for the Second Circuit)は放送局側が起したAereo差止要求を拒否しており、対して放送局側は今月、改めてケースの審理の申立てを提出している。Aereoは、放送局側の動きにまったく左右されず、サービス地区をNYのほかにも5月からボストンへ拡大するという。

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Syncbakは地区ごとに限られた技術設計になっており、地方局の限定地区のみに番組が配信される仕組みになっているという。たとえば、NYからボストン行きの電車内でCBSの番組をiPadや携帯で視聴していたとしよう。Syncbakサービスであれば、ボストン地区に入ったら管轄内の地方局へシームレスに繋ぎかえる。Syncbakのサービスも有料TVと同様、コンテンツを視聴するには事前に登録する必要がある。通常、米国でのシステムではケーブル・衛星サービスは地方局に番組使用料を支払っている。もしオンライン配信されるコンテンツが無料となれば、この収入の仕組みが崩れてしまう。

先週起きたボストンマラソン爆撃事件については、ボストン郊外からも地方局のライブストリーミング放送を視聴でき、捜索に関する最新情報を得られた。これは地方局が公共テレビ側で用意したコンテンツを無料で提供したためである。

CBSとしては、系列局とSyncbakと協力してCBSの番組をSyncbak技術に乗せて、”完全に活性化した展開”をする意欲を示している。SyncbakはCBSのほか、NABおよびCEAからも投資を受けているという。

(山下香欧)