富士フイルム株式会社は、映画やテレビ、CMの撮影現場向けのデジタル映像制作用カラーマネージメントツール「Image Processing System IS-mini(IS-mini)」を6月上旬より発売する。価格はオープンプライス。

4月上旬に米ラスベガスで開催されたNABショーにおいて一般初公開した新製品。会場では、ジュラシックパーク、ロジャーラビットなどの撮影監督であるDean Cundey氏をステージに招いて大々的に発表した。

デジタルシネマカメラによる撮影やCG合成、VFXといったデジタル編集では、多種多様な編集機器およびソフトウェアによって統一的に色管理を行うことが難しい。撮影現場でも、撮影監督のほか制作に携わる技術スタッフが複数のモニタを使って撮影した映像を確認する。それらモニタの特性が異なっているなどの理由により色再現に差異が生じることもあり、モニタで映像を確認しているスタッフ全員が同時に正しい色再現の映像を撮影現場で確認することが困難だ。

IS-miniは、同社のACES規格準拠の画像カラーマネージシステムと連動させて、その問題を解決する。マルチカメラとマルチモニターの色調整を行えるほか、単体利用においてモニターキャリブレーションやカメラビューイングが可能なツールだ。

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IS-miniはおおよそ10センチ四方の小さなデバイスで、HD-SDIから入力された映像信号を内部に記録された色変換テーブル(1D/3D LUT)に基づきリアルタイムに変換し、最適な色をモニタ上でHD-SDIとHDMI経由で出力する。同社のAECS準拠「CCBOXX(IS-100)」画像カラーマネージシステムと連動させ、撮影用カメラと映像確認用モニタで同一の色管理が可能になる。IS-100で使用・生成した色変換テーブルが記録されたIS-miniを、ポストプロダクションで使用するモニタと映像出力機器に接続すれば、撮影現場で監督が意図した色再現がモニタ上で正確に再現されるため、ポストプロダクション作業の効率化にもつながるという。

またそれぞれのカメラ向けに色調整を独立して行うこともできる。単体では、モニタを測色計で計測した数値をPCに取り込み、作成した色変換テーブルを記録されたIS-miniを映像出力機とモニタに接続することでモニタのキャリブレーションができる。さらに、撮影に使用するデジタルシネマカメラ用に事前に生成した色変換テーブルをIS-miniにインポートして撮影現場に持ち込めば、撮影現場のモニタ上において後工程で再現される色に近い精度の撮影カメラプレビューが可能となる。

(山下香欧)