東芝は5月28日に、ハイブリッドキャスト対応のウルトラHD (UHD)TV「REGZA Z8X」シリーズを発表した。モデルは84V型「84Z8X」と65V型「65Z8X」、58V型「58Z8X」の3機種。ハイブリッドキャスト対応の大型UHD TVが発売されるのは初めて。発売は6月下旬で、「84Z8X」の希望小売価格は168万円。65型と58型パネルの価格は1インチ1万円を切った価格設定となっており、「65Z8X」は75万円前後、「58Z8X」は50万円前後を予定している。

液晶パネルは、84型がIPS方式、65/58型はVA方式となっている。3D立体視にも対応し、84/65型はパッシブ方式、58型はアクティブシャッターメガネを採用したフレームシーケンシャル方式となる。

Zシリーズは、新開発の画像処理エンジン「レグザエンジンCEVO 4K」と「レグザエンジンCEVO」を搭載した、高画質映像処理回路「シネマ4Kシステム」により、BDのフルHD映像を4K映像に近い画質（水平解像度復元率90%）にアップスケーリングして表示することが可能になっている。ZシリーズにはHDMI入力が4系統あるが、4K対応ビデオカメラや4K2K映像の録画・出力に対応したビデオレコーダーから映像をネイティブで表示させるには、別売(受注生産品）の4K映像入力アダプターを通してRGB 4:4:4の4K/60p入力に対応するようになっている。

「レグザエンジンCEVO 4K」には、新しい超解像技術を採用している。きめ細かい質感を復元する「微細テクスチャー復元」や、映像の光沢成分を制御して輝き感のある映像を再現する「輝き復元」、画素単位で最適な超解像処理を行って精細感を向上させる「絵柄解析 再構成型超解像技術」により、高画質化を実現している。さらに映画コンテンツの視聴に効果的な「高解像度シネマモード」では、ノイズを抑えて映画ソフトのありのままを再現し、映画本来のリアリティを最大限まで引き出すことができるという。120Hzの倍速パネルでLEDバックライトスキャンにより残像感を低減する「4Kアクティブスキャン240」も搭載。

Zシリーズは業界で初めて、テレビとスマートフォン/タブレットといったモバイルデバイスを連動できる放送・通信連係サービス”ハイブリッドキャスト”に対応した。ハイブリッドキャストは、HybridとBroadcast、Unicastを組み合わせた造語で、インターネットを活用した次世代の放送通信連携技術。対応テレビを利用して番組と連動したHTML5アプリケーションを利用でき、モバイルデバイスをセカンドスクリーンとして、リアルタイムで連動させることができる。国内では、試験的にも年内にサービスを開始する方向で、IPTVフォーラムでも標準化を進めている。Zシリーズでは、リモコンのdボタンから操作ができ、画面上にオーバーレイする状態で情報が表示されるようになる。ハイブリッドキャスト対応に関しては、国内サービス開始に合わせてソフトウェアアップグレードで対応するという。

尚、5月30日からNHK放送技術研究所を一般公開する「技研公開2013」では、東芝のほかにもソニーをはじめシャープ、パナソニック、三菱といった国内テレビメーカーがハイブリッド対応テレビの試作機を展示し、NHKおよび民放各社が実用化に向けた具体案を紹介する。

（山下香欧）