米Abekas(アベカス社)は、NAB2013にて発表したライブプロダクション向けビデオクリップサーバ「Tria(トリア)」の出荷を開始した。

Triaはライブプロダクションスイッチャーを利用している現場からのニーズの声を受けて開発された。同社製のライブプロダクション向けサーバは、ソニー社製スイッチャーと併用しているスポーツ放送を賄うライブプロダクションが多く利用しているが、更に手軽に使えるクリップサーバが求められていたという。

スポーツ中継放送やスタジオからの生放送を運用する現場では通常、クリップサーバに保存したアニメーション素材やスタジオセットにあるディスプレイで再生する素材を、スイッチャー側に送り込んでいる。生中継でのオペレーションのため、スイッチャーとクリップサーバとの間の迅速なインターフェースは必須だ。

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Triaの外姿はNABで披露された後に2RUの筐体に変更されている。入力1チャンネル、出力はビデオ+キーのペアチャンネルと、2チャンネルのビデオチャンネル(合計3チャンネル出力)を持つモデルと、入力1チャンネル、出力がビデオ+キーのペアチャンネル(合計1チャンネル出力)の2モデルになった。他プロダクションから来る多様なファイルフォーマットの素材に対応できるのが大きな特徴。内部処理はJPEG2000フォーマット(ビットレート200Mbps)。内部記録媒体にSSDを採用しており、更に冷却用ファン音の低減などでシステム全体でも静音化している。外部からの制御にVDCPおよびOdetics、Sony BVW75プロトコルが利用でき、プロダクションスイッチャーから、ベースバンドでのレコーディング、Triaのライブラリ内のコンテンツのレビュー、クリップのロード/再生や、TriaのVKA(ビデオ+キー+音声)クリップや、スイッチャー側のトランジションの同期再生などの操作が行える。

Triaの開発段階において、ソニー社製プロダクションスイッチャーとの統合性と信頼性を確実なものにするため、ソニーアメリカの技術担当者たちから協力があったという。

ソニーのスイッチャーで、外部装置にある素材クリップをGUIで表示すると「CL00045」となるが、Triaからだと「5:00pm News Opener」のように、オリジナルのクリップ名がそのままGUIに表示できる。またクリップのトリムもスイッチャー側のコントロール・サーフェイスから素早く簡単に行え、トランジションエフェクトをリコールする際などの迅速精度も信頼のおけるものとなった。

(山下香欧)