©田中慎弥/集英社・2012『共喰い』製作委員会

Blackmagic Designの発表によると、9月7日(土)から公開の映画「共喰い」のグレーディングにBlackmagic DesignのDaVinci Resolveが使用されているという。

「共喰い」は田中慎弥氏による、第146回芥川賞受賞作の同名小説を原作とした、 昭和の山口県下関市を舞台に、人間の暴力と性を描いた話題作。「EUREKA ユリイカ」や「東京公園」で海外の映画賞を受賞した青山真治監督がメガホンをとり、撮影は青山監督と何度もタッグを組んでいる今井孝博氏が担当した。同作品はさきごろスイスで開催されたロカルノ国際映画祭で「YOUTH JURY AWARD最優秀作品賞」および「ボッカリーノ賞最優秀監督賞」を受賞している。

今井氏:青空の世界のイメージではないと思いました。昭和の最後の年に、地に足をしっかりつけて生きてる人たちのイメージだったので、空を見上げるような感じではなく、土を意識したいと思いました。そのため作品全体のトーンも青ではなく、アンバー系にしました。カラコレすることは、決っていましたが、あえて撮影時にもフィルターを使ってトーン作りをしました。

今回、2人が編集とカラーグレーディングを依頼したのが、別の作品でも一緒に仕事をしていた田巻源太氏。田巻氏は、3年前にDaVinci Resolveを導入して以来、その柔軟性とツールセット、コストパフォーマンスの良さを評価しているという。田巻氏は「共喰い」の色作りについて、次のようにコメントしている。

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田巻氏:撮影後のオールラッシュの試写のあとに、夏の設定の物語なんですが、あまり暑さが感じられないとの意見が出ました。そのため、Resolveでオレンジ系だったトーンにイエローを足して暑さを表現しました。また、全体的にサチュレーションを下げて、色を抜くような色作りをしました。

編集もグレーディングも、私がやっていましたので、編集が終わる前にグレーディングも行っていました。Final Cut Pro Xで編集しながら、途中経過のものをXMLでエクスポートして、Resolveに読み込ませてグレーディング。その後、使われたショットの全尺分をレンダリングしてFinal Cut Pro Xに戻しました。レンダリングした素材は、タイムライン上で使われた尺分だけでなく、オリジナルクリップの全尺分あるため、きちんとグレーディングした映像で尺調整や再編集ができるんです。

映画「共喰い」 9月7日(土)より 新宿ピカデリーほか全国ロードショー
  • 出演:菅田将暉 木下美咲 篠原友希子 光石研 / 田中裕子
  • 原作:田中慎弥「共喰い」(集英社文庫刊)
  • 監督:青山真治 脚本:荒井晴彦 プロデュサー:甲斐真樹
  • 撮影:今井孝博 照明:松本憲人 編集:田巻源太
  • カラーグレーディング:田巻源太
  • 制作プロダクション:スタイルジャム 製作:『共喰い』製作委員会
  • 配給:ビターズ・エンド (c)田中慎弥/集英社・2012『共喰い』製作委員会
  • 公式サイト:www.tomogui-movie.jp