アドビ システムズ 株式会社は、同社のクラウドサービス「Adobe Creative Cloud」で提供されるAdobe Premiere Pro CCなどの映像制作ツールを対象としたメジャーアップデートを発表した。2013年10月中旬からの提供を予定しており、すでに加入済みのCreative Cloudメンバーには提供開始後追加料金なしで利用可能となる。9月13日から17日までオランダ・アムステルダムのRAIコンベンションセンターで開催されるIBC2013の同社ブースや60社を超えるパートナーのブースでも展示および紹介が行われる予定だ。アップデート内容の概要は以下の通り。

(以下プレスリリースより引用)

  • Direct Linkカラーパイプラインにより、カラーグレーディングのワークフローがよりスムーズになります。Adobe Premiere Pro CCで編集されたタイムラインを、マルチトラックの構成を保持したままSpeedGrade CCでグレーディングできます。また、その結果をAdobe Premiere Pro CCのタイムラインへLumetri Deep Color Engineにより反映させることもできます。
  • UltraHD、4K、およびそれ以上の解像度、高いフレームレート、およびRAWフォーマットのネイティブサポートが拡充され、最新の高解像度カメラからのクリップを変換することなく、そのままネイティブで扱うことが可能になりました。
  • After Effectsのマスクトラッカー機能を使えば作成したマスクをコンポジション内でトラッキングすることができ、大幅に作業時間を短縮できるようになりました。
  • Premiere Pro CCでの編集作業が合理化され、マルチカムの改善、新しいモニターオーバーレイ、およびオーディオ監視機能を通じて作業をより高速化します。
  • 今回のアップデートではパフォーマンスの強化が重視されており、Premiere Pro CCではOpenCLがサポートされたことによって要求の非常に厳しいプロジェクトに必要なスピードと処理能力が得られ、またCinema DNGフォーマットの再生能力向上のため、GPU高速処理によるデベイヤーが新たに加わりました。
  • iPad向けにリリースが予定されているPrelude CC Live Loggerアプリケーションでは、Live Loggerに対応するワイヤレスタイムコードジェネレーターにより、収録時のタイムコードと同期させ、メモ、イベン卜などのメタデータをiPadに記録できるようになります。また記録されたメタデータは、Creative Cloud経由でデスクトップアプリケーションと同期、制作時に効率よく目的の素材を探し出すことができます。
  • SpeedGrade CCの新しいSpeedLooksによる先進的なカラーグレーディング機能には、カメラの機種に応じたパッチが付属しています。これにより異なるカメラフォーマットの間においても色空間のマッチングが可能になりました。新しい複数マスクとリンクされたマスクレイヤー機能が、複雑な画像のコントロールを可能にします。
  • Adobe Media Encoder CCでもCreative Cloud経由の設定同期が可能となり、エンコードの設定を複数の環境で同期できるようになりました。

プレスリリースによる発表に加えて、同社のオフィシャルブログ「Focus In Blog」でも情報が掲載されている。

新機能の紹介動画(英語)。Cinema DNG、ソニーRAW、Phantom Cine、Canon EOS-1D C MotionJPEG QuickTime再生強化、XAVC S、AVC-Ultra Long GOP、64-bit ProResデコード、RED 6Kなど、4Kも含んだ各種フォーマットにネイティブ対応する。XAVCとAVC-Intra200でのエクスポートにも対応するという。なお今回のアップデートによりシーケンス設定の変更にも対応する

Direct Link機能によるAdobe SpeedGrade CCとの連携紹介動画(英語)。SpeedGrade CCにAdobe Mercury Playback Engineが搭載され、再生パフォーマンスが向上したほか、Adobe Premiere Pro CCのシーケンスをマルチトラック構造を保ったまま直接開けるようになる。新機能のDirect Linkを使用することで、Adobe Premiere Pro CCとAdobe SpeedGrade CCをシームレスに切り替え、編集とカラーグレーディングを効率よく進められる

強化された編集機能の紹介(英語)。シーケンスのタイムコードやクリップ名などのメタデータを、カスタマイズ可能な形でオーバーレイ表示できるようになった。マルチカメラ編集機能も強化され、カメラ台数が多い場合にマルチカメラ編集をより分かりやすくする機能を搭載する

同社はさらに、Adobe Premiere Pro CCやAdobe Prelude CCなどのユーザーが、集中管理される素材ファイルを使い、ネットワーク経由で共同作業を行えるワークフロープラットフォーム「Adobe Anywhere」についても重要なアップデートが予定されていることを発表した。「Adobe Anywhere for video」の日本国内での提供は11月を予定している。Adobe Anywhereを通じてAfter Effects CC制作チームメンバー間のコラボレーションが容易に行えるようになったり、収録サーバーへ録画中のファイルをAnywhere環境のAdobe Premiere Pro CCで編集したりできるようになる。Anywhere環境にある作業中のファイルやシーケンスを、現場や遠隔地から表示や再生するためのiPadアプリケーションも近日中にリリース予定としている。