2700万人の会員を擁する動画配信サービス業者のNetflixは、新しくオリジナル番組制作をソニー・ピクチャーズ・テレビジョン(SPTV)に発注したことを明らかにした。同社は、エミー賞9部門ノミネートされたテレビドラマシリーズ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」を制作、同サービスで独占放送をして話題を呼んだ。こちらも現在、シーズン2を制作中である。オリジナル番組ではハウス・オブ・カードのほか、「Orange Is the New Black」、「Hemlock Grove」、「Arrested Development」を提供している。

新作はサイコスリラーになるという。SPTVに加えて裁判ドラマ「ダメージ」の製作者たちが今回の番組制作に関わる。シーズン1は13話で、前回と同様、プリミア放送はNetflixの加入者のみ。

ハウス・オブ・カードは本番組にも主演したケビン・スペイシー氏が運営するプロダクションが制作した、市場初のネットオンリー番組だ。大ヒット映画を手がけた、デヴィッド・フィンチャー監督が初めてテレビドラマシリーズを手掛けた政治サスペンスドラマ。日本でも、NOTTVにてネット配信が始まった。

ケーブルテレビ事業者は、Netflixらのビデオ配信サービスに加入者を奪われるという潜在的な競争相手に警戒心を持っていた。Netflix側でも市場を乱すことを恐れ、ケーブル事業者たちと共存提案を図っている。現在、数社のケーブルサービスと組み、ケーブル用セット・トップ・ボックスを経由してNetflixのサービスを受けられるような仕組みを提案しているという。ウォールストリート・ジャーナルでは、コムキャストもその中に入っていると説明している。ケーブル事業者のインターネットサービスのシステムにNetflixのネットワークを直接つなげることで、両社および加入者にとってもサービス拡張の利益が生まれるという。

先月には、ヨーロッパのケーブル事業者2社(スウェーデンのCom Hemと英バージンメディア)がTivoのセット・トップ・ボックス経由でNetflixが楽しめるサービスを開始した。本拠地米国での同様の展開も、今後行われる可能性がある。

(山下香欧)