次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)は26日、記者や関係者を対象に中間発表会を行った。発表内容は、実機を使って2モデルの実証デモンストレーションを実施する形となった。
4Kカメラで撮影した映像をHEVCでリアルタイム符号化し、映像データを高度狭帯域伝送方式で伝送。4Kモニターで再生
1つ目のモデルは、2014年のCS124/128°衛星での4K試験放送に近い形で、4K/60pのHEVC映像をリアルタイム伝送するというもの。NexTV-Fによると、このリアルタイムエンコードと衛星伝送を合わせて実現したのは、世界初だという。
デモでは、ソニー製F55でスタジオセットを撮影しながら、ベースバンドでエンコーダーに送ってリアルタイムでエンコードし、放送で想定している変復調処理、及び擬似衛星回線を通して4Kディスプレイにて再生を行った。今回は衛星を通さず、周波数変換してケーブルで伝送している。多重化はMPEG-2 TSで、エンコーダーはソフトウェアベースでFPGAを利用し、デコーダ側もPCに搭載したソフトウェアベースであった。映像のストリームは、約35Mbpsに設定したという。ライブフィードから4Kディスプレイ再生までの遅延は約4秒ほどだった。
2014年放送開始時の運用では、このモデルを採用する予定。衛星伝送路は40.5Mbpsと想定している。NexTV-F顧問を務める東京理科大学の伊東晋教授は「基幹放送までには、ストリーム帯域を20Mbps台までに実現させたい」とコメントしている。25Mbpsにまで圧縮できれば、BSの1トランスポンダ(中継器)で3チャンネル搭載が可能になる。
HEVCストリーム画質については、動きがあまりないスタジオセットが使われたが、動きのない被写体のまわりのにじみやブロックノイズが気になった。これらの品質向上へのチューニングは引き続き行っていくとしている。
HEVC LSIを想定したソフトウェアにより、4K映像の符号化品質を4Kモニターで確認
2つ目のモデルは、2016年の110度CSデジタルや、その後のBSでの8K試験放送を視野に入れた画質デモであった。2015年に登場させる予定のHEVC対応シングルLSIを想定した4K映像の符号化品質を、4Kディスプレイで確認するというのもの。NexTV-Fが受託している次世代衛星放送テストベッド事業において、4K HEVCリアルタイム符号化を実現するハードウェア向けアルゴリズムが検討されている。このアルゴリズムをLSI化し、実装したリアルタイムHEVCエンコーダーの早期開発が期待されており、将来的にはマルチLSIで8K/60pリアルタイムエンコードの実現も目標とされている。