Blackmagic Designの発表によると、サンタモニカに拠点を置くポストプロダクションのPrehistoric Digitalが、ロードの新シングル「Team」のミュージックビデオのカラーグレーディングにDavinci Resolve 10を使用しているという。また、Prehistoric Digitalは、同ミュージックビデオを世界中のオーディエンスに提供できるよう、Teranex 2D Processorを使用して様々なスタンダード変換を行った。

ロードのファーストシングル「Royals」は、ビルボードHot100チャートで9週連続1位を獲得して世界的な社会現象となり、グラミー賞の各賞にもノミネートされた。

ミュージックビデオ「Team」は、ロード本人が実際に夢で見た「序列と儀式で構築される若者の世界」がコンセプトとなっている。監督にヤング・レプリカント氏を迎え、ブルックリンのレッドフック・グレインターミナル廃虚で撮影された「Team」のミュージックビデオは、2つの対照的なルックで構成されており、物語中の2つの舞台が表現されている。地上では、冬の午後のような情景の中、新しく「チーム」に入る若者が儀式として廃虚を連れ回される。地下では、すでに儀式を終えた若者たちが、暗い熱帯林のような場所に座っている。

Prehistoric Digitalの創設者/共同経営者であり、ミュージックビデオ「Team」のカラリストでもあるケビン・キャノン氏は、それら両方の場面において、物語のミステリー性が維持され、霧の中に辛うじてディテールが見えるようなカラーグレーディングを実現したかったと話している。

キャノン氏:Davinci Resolveのカラーツールが非常に正確だったおかげで、自分たちの求める方向性で作業を進め、かつ全体的なバランスもとることができました。

また、Power Windowsの優れたトラッキング機能を駆使して、見せるべきディテールと隠すべきディテールを的確に表現できました。トラッキング機能のスピードと正確性は大きなアドバンテージでした。Dacvinci Resolve 10では各ノードに限りなくウィンドウを追加できるので、複雑な組み合わせのウィンドウでもノードを少数に抑えることができるんです。

撮影後、PrehistoricのスタッフはDavinci Resolve 10を使用して複数のメディアを作成した。始めに、撮影カメラマンのトッド・バンハズル氏の作成したルックに、アナモフィック信号を正しいアスペクトレシオに引き延ばすアナモフィック・ディスクイーズ機能を使用して、編集用メディアが作成された。

次に、後々ビジュアルエフェクトを加える際に使用できるよう、アナモフィック・ディスクイーズ機能を使用してLog Cの2Kフル解像度バージョンが作成された。編集後は、Alexaカメラのオリジナル映像をDavinci Resolve 10にインポートし、タイムラインに並べて最終カラーグレーディングが行われた。キャノン氏は、ポストプロダクションの全行程を通して、Davinci Resolveが不可欠なツールだったと話す。

VFXを使用した最終調整や、カラーセッション前および最中に行われる編集上の変更もあり、同ミュージックビデオ制作における制作期限は差し迫っていた。キャノン氏は、Davinci Resolve 10で新たに搭載された多くのオンライン編集ツールを利用し、編集で変更があった部分をResolve内で同じように変更したり、カラーセッション中にアイデアが生まれれば、その場で編集に変更を加えたりした。

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キャノン氏:DaVinci Resolve 10の持つ高品質のリタイミング・エフェクトは、クライマックスとなるオートバイでの一騎打ちシーンにおいて素晴らしいソリューションとなっただけでなく、大幅な時間削減にもなりました。私たちは新機能を使用して複数トラックでオーディオ編集を行い、データ確認用のテキスト作成やコンポジット作業も行いました。

Prehistoric Digitalは、DaVinci Resolve、そしてBlackmagic Design DeckLinkやUltraStudioといったキャプチャー・再生デバイスだけでなく、Blackmagic DesignのTeranex 2D Processorを使用してビデオのスタンダード変換も行った。オリジナルのカメラ映像は、最終マスターに合わせ23.98fpsで撮影された。また、様々な市場での利用を可能にするため、Teranexを使用して25fps、29.97fpsバージョンも作成された。