ロシアの衛星放送事業者で国内オリンピック放送権を持つNTV+(NTVプラス)は、ソチオリンピックの開会式の模様を4Kカメラで撮影し、衛星回線を使って伝送し4Kテレビに再生する実証実験を行った。今回NTV+が挑戦したのは、映像圧縮方式にH.265/HEVCコーデックを使い、テレビにはセットトップボックスを介して再生するというもの。

今まで実施された衛星回線を使った4K中継伝送では、映像圧縮方式は現行のH.264/AVCで数台のHDエンコーダーを並行処理させる方法で行われている。H.264/AVCに対して約2倍の効率で圧縮できると言われるHEVCエンコーダー使った実証実験は前例がない。

現地で収録しているソニーF55カメラのソースをベースバンドでHEVCにリアルタイムエンコードし、ユーテルサット衛星へアップリンク、モスクワのNTV+スタジオにて受信し、それをブロードコムチップ搭載のセットトップボックスにて復号化しパナソニック製65インチ4Kテレビに再生した。HEVCにリアルタイムエンコード処理には、米エレメンタル・テクノロジーズのシングルエンコーダーを採用。システム全体の回線容量については公にされていないが、4K/30p、8ビットで伝送レートは26Mbpsであった。

(山下香欧)