Blackmagic Designの発表によると、トロントに拠点を置くBanger Filmsが、アリス・クーパーの人生に焦点を当てたドキュメンタリー「Super Duper Alice Cooper」の制作にTeranex 2D ProcessorおよびDaVinci Resolveを使用しているという。同作は、アメリカ合衆国ではトライベッカ映画祭2014にて、プレミア上映が決定しており、世界各国でも商業上映される予定だ。
Banger Filmsは、これまでにアメリカのケーブルテレビ・チャンネル、VH1の「Metal Evolution」シリーズや、数々の賞を受賞した「Iron Maiden: Flight 666」、そしてトライベッカ映画祭2012で観客賞を受賞した「RUSH:Beyond the Lighted Stage」などを手がけており、音楽ドキュメンタリーの分野において最も評価の高いスタジオだ。
Banger Filmsは、過去50年の間に使用されたあらゆるフォーマットのフッテージを扱わなければならず、これらのファイルを最終的にすべて1080p HDプロジェクトに移した。すべての変換には、Teranex 2D Processorが使用された。Banger Filmsが制作するすべてのドキュメンタリーでオンライン・エディター兼技術監督を務めるアンドリュー・コワルチュク氏は次のようにコメントしている。
コワルチュク氏:すべてのフッテージは、Teranexを使用して変換しました。最初はアップコンバートすることで多くのフッテージが見るに耐えない映像になってしまわないかと心配だったのですが、Teranexはすべてのフッテージを問題なく変換できました。しかも、設定は非常にシンプルで、アーカイブ映像を入力して適切なボタンを押すだけでした。
Teranexはハードウェアベースの変換ですが、私が「Flight 666」や「Rush」で使用したソフトウェアベースのソリューションと比べても、非常にスピーディかつ簡単に多くの変換を行うことができました。
Teranexでは変換プロセスを完全にコントロールできます。ストックハウスから状態の悪い変換フッテージが送られてきた場合、私はNTSCやPALのマスターを受け取って自分で変換しました。自分で設定して自分で変換できる点は素晴らしいですね。
Teranex 2D Processor
コワルチュク氏:アリスはビッグスターなので、ファンが撮影した非常にユニークだけれども扱いづらい映像もいくつかありました。中でも最も難しかったのは、70年代にニューヨークシティで、バーから出て来るアリスにある男性がインタビューした映像でした。この映像は、旧型の半インチ・オープンリールカメラで撮影されており、画質は最悪でした。しかしTeranexはこの映像を簡単に蘇らせてくれたのです。
アリス・クーパーの人生をフィルムで再現するにあたり、Banger Filmsは、同作のトーンを1920年公開の無声映画、「狂へる悪魔」のスタイルにマッチさせることにした。「狂へる悪魔」のストック・フッテージは同作でも使用されている。このスタイルを設定し、ストック・フッテージをマッチさせるため、Banger FilmsはDaVinci Resolveでカラーコレクションを行った。多くのストック・フッテージで大規模な作業が必要だったため、Banger Filmesは最終的なポスプロまで待たずに、Teranexaで変換したそれぞれのフッテージすべてにカラーコレクションを施した。
コワルチュク氏:かなり速い段階で、同ドキュメンタリーで採用する色を決定しました。ストック・フッテージが次々と送られてきたので、まずTeranexで変換し、次にDaVinci Resolveでカラコレしてからグラフィック担当者に送るという流れでした。つまり、カラコレは常に行われていたのです。ショットを受け取ってそのつどDaVinci Resolveを使えるので非常に便利でしたね。それぞれのフッテージを異なるポスプロスタジオに持ち込んでカラコレしなくてすんだので、時間を大幅に節約できました。Resolveがなければ、これほどスムーズに作業を進めることはできなかったでしょう。