韓国では4K放送に向けて、国内コンテンツの80%以上を保有している地上波局も揃って始動した。

未来創造科学部(未来部)が、KBS、MBC、SBSの地上波放送事業社それぞれに700MHz帯の周波数を活用した地上波UHD(=4K)実験局を許可したことを受け、3局は早ければ4月から今年末まで、首都圏でUHD実験放送に行う。これにより、3局は自社網の環境に合わせてUHD実験局システムを構築し、単一周波数網(SFN:Single Frequency Network)、4K/60pリアルタイムエンコードなど、様々な技術検証を実施する。

実験局は、科学や技術の進歩のための実験に専用で使われる無線局を意味する。電波法の規定第20条2項に基づき、将来部長官が1年の範囲内で許可することができる。各地上波は700MHz帯周波数で割り当てられた周波数幅を活用し、DVB-T2で実験放送を実施する。

各放送局の実験放送のロードマップも具体的だ。KBSとSBSは、既存の送信サイトや新規サイトを活用して、地上波UHDのSFN実装検証を実施。SBSは53番チャンネル(704MHz〜710MHz)を割り当てられた。MBCは今回52番チャンネル(698MHz〜704MHz)を割り当てられ、1つのチャネルを介して固定UHDと移動HDを同時に送信する内容を検討している。また、この地上波UHD実験放送を機に、新しい社屋の最新インフラを積極的に導引する考えだ。実際にMBCは4Kによる番組コンテンツ制作にも莫大な投資を惜しまないでいる。

昨年までに2フェーズにてUHD実験放送を無事に終えたKBSは、既に冠岳山に続き、南山にもUHD送信機を備えており、今回KBSは比較的高い帯域である66番チャンネル(782MHz〜788MHz)を割り当てられて本格的な実用化直前の段階に突入する。

実は現在、700MHz帯の使用は、放送分野のほか、公共、通信分野でも周波数需要を提起しているため、未来部と放送通信委員会が共同で構成された研究班を通じて、多角的な側面から総合的な検討と議論が交わされている。未来部は昨年の放送産業発展総合計画に基づいて策定した“モバイル広開土プラン2.0”と電波振興基本計画で、事実上700MHz帯の周波数を通信事業者に割り当て、方針を明らかにしている。同時に有料放送中心のUHD戦略も公にしていることで、地上波UHD推進への意欲が弱まっている感があった。そんな中、地上波4局(KBS、MBC、SBS、EBS)は昨年11月、700MHz帯の周波数を活用方案に対する単一案「国民の幸せの700プラン」を打ち出し、地上波局がUHD放送へと移行するためにも700MHz帯は放送でも使用できるよう唱えている。

伝送方式は、一度決定すると10年以上は仕様が変わらない。国民生活への影響が大きいだけに、未来部では地上波UHD導入政策決定および周波数の確保の状況とそれに伴う導入スケジュール等を勘案して慎重に決定するという説明だ。また今回の実験局の許可については、SFNテストなど地上波UHD関連の様々な技術検証のためのもので、700MHz余裕帯域の使用の決定は、今回の実験局の許可とは別の問題だと説明している。しかし現実的に地上波放送局がUHD放送を開始するためには、700MHz帯の周波数を割り当ててもらうしか方法がないと見なされている。

地上波局は、今年に実施される世界的スポーツイベントをUHD放送で実験する方向で進めている。ブラジルのワールドカップ(SBS、6月)と仁川(インチョン)アジア大会(KBS・MBC、9月)などのスポーツイベント時において4K中継放送実験を計画している。

(山下香欧)