Blackmagic Designの発表によると、東京の広尾にオフィスを構えるデジタル・ガーデンがWindowsシステムで2式目のDaVinci Resolveを導入し、グレーディングサービスを提供しているという。同社ではまた、昨年9月に新設したスタジオ内すべての編集室の波形モニタリング用にBlackmagic DesignのUltraScopeを導入しているという。

デジタル・ガーデンは、映像や音声の編集やCG制作などを手がけるポストプロダクション。同社は、以前からアメリカのCompany 3と提携し「リモート・テレシネ」サービスを提供してきた。必要な素材をCompany 3に送り、クライアントはLA、NY、Detroitなど全米にあるCompany 3のカラリストとビデオ会議システムでコミュニケーションをとりながら、グレーディングをリアルタイムで共有できるという。また、1式目のDaVinci ResolveのMac版システムを導入してからは、同社カラリストのほかに、Company 3からカラリストを招聘して、グレーディングサービスを提供してきた。

同社のカラリスト兼コンポジターである二神真一氏は次のようにコメントしている。

二神氏:やはりカラリストとResolveのシステムが同じ場所に存在することで、カラリストとクライアントがより親しくなれます。結果的にお互いの好みもよく分かるようになるので、グレーディングも進めやすいですし、データ転送時間も節約できるのがメリットです。

昨年12月に、Company 3 NYから来日したジェイミー・オブラドビッチ氏はCGアーティスト、オンラインエディターを経てカラリストへ転向し、BMW、Google、Twitter、AT&TなどのCMのグレーディングを手がけている。

※現在、オブラドビッチ氏は仕事の都合により帰国している。デジタル・ガーデンでは引き続きCompany 3からカラリストを招聘していく予定

イギリス人カラリストに師事した経緯もあり、「コントラストが低くめでレンジが広い、実際のフィルムプリントのような、ヨーロピアンルックが私のスタイルです」と自身のグレーディングスタイルを分析する。日本のテレビCMと自身のグレーディングの違いについては次のようにコメントしている。

オブラドビッチ氏:違いは感じますね。明るさに関しての感じ方や、暖かいトーンの定義も、自分が思ってる色と日本のクライアントが感じる暖かい色というのが違っていたりします。ただ、そこがカラーの面白いところです。クリエイティブで主観的なカラーグレーディングの分野で、日本のマーケットに挑戦できるのを嬉しく思います。Company 3が手がけた長編映画作品などの、よりフィルムライクなトーンを求めているクライアントが多いと感じるので、ひと味違ったカラーコレクションのスタイルを提案できればと考えます。

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写真左:二神真一氏、右:ジェイミー・オブラドビッチ氏

オブラドビッチ氏:Resolveは、何かクリエイティブなことをしたいときに、どうやってやろうかと難しく考えることなく、スクリーンを見ながらコントロール・サーフェスを使ってできてしまうんです。レイヤーでなく、ノードベースの考え方はとても気に入っています。私はオンライン編集をしていたので、いろいろなソフトウェアを使ってきましたが、Resolveのトラッカーはその中でも、一番使いやすいです。とにかくソフトウェアとハードウェアの組み合わせで、いろんなアイデアが出てくるのがいいですね。

今回、導入したResolveはWindowsシステムで構築したという。SupermicroにTitanを4枚装着し、ストレージは大容量のDDNを導入した。

二神氏:Resolveは、いわゆるターンキーではなく、自分たちで構成を決めて組み上げることができます。現状で最高スペックな構成にしようと言うことで、構成を決めました。スピードもとても速くリアルタイム性がありますし、安定もしています。

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二神氏:Resolveはカラーグレーディング以外でも、ファイルの変換などの用途に使うこともあります。あらゆるフォーマットに対応していますし、その変換処理も速いです。最近は高速で大容量のストレージに繋がっているので一気に変換できます。私はオンライン用のシステムもResolveも両方使っていますが、Resolveのソフトウェアの設計はそれらと比べても、シンプルで使いやすいです。例えば、Resolveのコンフォームが簡単なので、カラーコレクションの作業がない場合でもコンフォームだけはResolveで行なうこともあるんです。ソフトウェア・デザインが使いやすくできているので、必要な機能が必要なところにシンプルに配置されていると感じます。