Blackmagic Designの発表によると、フリーランス・カラリストのマーク・トッド・オズボーン氏がハリウッド映画「ニード・フォー・スピード」のカラーグレーディングにDaVinci Resolve 10を使用しているという。オズボーン氏はLAにある制作/ポストプロダクション会社のBandito Brothersのスタジオで2KのDIグレーディングを行い、様々な試写に対応した。

ドリームワークス・スタジオのポストプロダクション・執行副社長であるマーク・グラジアーノ氏は次のようにコメントしている。

グラジアーノ氏:この作品では、通常よりもずっと早い段階でカラーコレクションに取りかかることができました。そのため、編集をしつつも常にカラーコレクションを施した素材を提供できたのです。おかげで、高解像度かつ色も調整された状態で試写ができたんです。

さらにBandito Brothersは、2Kのカラーコレクション済みのフッテージを3D変換用に提供することができ、グラジアーノ氏によるとステレオスコピック変換を請け負う会社が、カラーコレクション済みのファイルを変換用に受け取ることは非常にまれだと言う。また、オズボーン氏によるカラーコレクションによって、変換作業中に様々なアイデアやフィードバックをだしやすくなり、3Dの変換プロセス全体がより順調に進んだという。

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「ニード・フォー・スピード」は人気ゲームを基に制作され、復讐のためにストリート・レースに挑む主人公を追った、アクション満載のスリリングな作品だ。オズボーン氏は作品のリアルさを強調しつつ、サチュレーションが高く、コントラストの強いルックを作り、作品の持つ雰囲気、トーン、激しさを伝えるのを助けた。オズボーン氏はDaVinci Resolve 10を使用して、いくつものレースシーンやスタントマンによるアクションシーンの高揚感を高め、色によって観客を物語に引き込むことに寄与したとしている。

オズボーン氏:この作品では大体、ショットの中に3つから4つくらいの異なる緑、黄色、青い色のものがあって、暖色と寒色が混在していました。それらの色がグラデーションを作り、さらに光源も保たれている感じでした。DaVinci Resolveのパワーウィンドウ、カスタムカーブ、クロマキー、ルミナンスキーは、それらのルックをより精密に調整し、シェーンのフッテージのクオリティを高めてくれました。

オズボーン氏は、いくつかのレースシーンで、色作りが物語の激しさを強調するだけでなく、一貫性を保つために不可欠だったという。

オズボーン氏:ワンシーンの中でも、太陽と雲の多さによって照明環境が変化します。これは、観客がストーリーに集中するのを妨げることもあります。私はパワーウィンドウ、キーそしてカーブを使って全体を寒色に統一し、一部のサチュレーションを持ち上げる効果をつけました。これによってよりダークで不穏なムードを表現しました。

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オズボーン氏:一方で、レッドロックキャニオンでのレースシーンでは、緊張感と熱気を伝えるために、暖色で黄色がかった色にしたいと思っていました。しかし、レッドロックの色が一貫して撮影できておらず、ときには青みがかって冷たい印象を受けるショットもありました。そのうえ、このシーンは車の中と外、岩の間、そしてまた車の中とあちこちで撮影されました。DaVinci Resolveのトラッカーは瞬時に的確な色を適用するのに多いに役立ちました。

オズボーン氏はDaVinci Resolveのオートキーフレーム・トラッキングを使い、マニュアルでキーフレーム打つことなく、効率的にトラッキングができたという。

オズボーン氏:トラッキングは作業効率のうえで大きな違いを生みました。DaVinci Resolveのオートトラッキングは、初めて使ったときから正確に動きました。動きが速すぎるショットもあり、通常はこういったショットは、システムが追いつかず、後でマニュアルで修正するのですが、それもDaVinci Resolveではほとんど起こりませんでした。こういったことが、積み重なって時間の節約になるんです。

それに、ユーザーフレンドリーで使っているときにテクノロジーやツールについて深く考えず済みます。そのかわりに、色作りやクリエイティブな作業に没頭できるんです。この作品では、細部までこだわって色を作っています。それによって、ストーリーを語る手助けをして、観客を物語に引き込むことができるんです。

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Bandito BrothersのCTO兼ディレクターである、ジェイコブ・ローゼンバーグ氏は次のようにコメントしている。

ローゼンバーグ氏:私たちは、DaVinci Resolve専用の部屋を持っていません。Blackmagic Designは、当社のオペレーションの重要な要素となっています。Videohubルーター、たくさんのDeckLinkカード、HyperDeck Studio Pro SSDレコーダーなどを導入しています。私たちは、マークのようなアーティストが当社の施設を使ってクリエイティビティを発揮してくれたことを嬉しく思っています。