衛星放送事業者のスカイ・ドイツがサッカーリーグ試合の中継を、4Kプロダクションを介し、衛星で伝送、4KテレビにHEVCストリームで再生するという、エンドトゥエンドの次世代放送に成功した。

2014年4月27日にドイツ・アリアンツ・アレーナで開催されたブンデスリーガの試合(FCバイエルン・ミュンヘン対SVベルダー・ブレーメン)において、DFL(ドイツサッカー連盟)とブンデスリーガ認定のSportscast協力のもと試験放送を行った。会場では、6台のソニーF55および4台のHDカメラで撮影。ライブソースは10Gイーサネット経由でスポーツプロダクションTopVisionの中継車でプロダクションされ(HDカメラソースはUHDにアップコンバート)、独フラウンホーファーHHI/ローデ・シュワルツと米エレメンタルのライブエンコーダーでHEVC化、多重化してアップリンク、ミュンヘン地区にあるスカイ・ドイツ本社の施設で受信され、施設内に設置したサムスン製の4KTV数台にセットトップボックス(STB)経由で再生したという。STBは4K60p/HEVCに対応できるViXSの最新SoCを搭載したテクニカラー製のものが主に使用された。

衛星はSES SA Astra 19.2E、コントリビューションリンクはMTI Teleport München GmbH。中継車には、4KプロダクションにEVSサーバとハイライト用にクォンテルサーバ、そしてVizrt社製のグラフィックスシステムが積んである。

スカイ・ドイツは2012年の12月にも、同リーグ戦(FCバイエルン・ミュンヘン対ボルシア・ドルトムント)にて4Kカメラを使って収録したことを始め、2013 UEFAチャンピオンズリーグ準決勝ではBSkyBと共同でマルチ4Kカメラを使用するなど、次世代放送の実証実験を重ねてきた。昨年のIBCでは、SES SA Astra2衛星経由で4K30p/HEVCコンテンツ伝送を行いPace製のSTB経由で4KTVに再生した。今回は4K50p/HEVCに対応した最新のエンコーダーとデコーダーが揃ったことで最前線の実証実験が成功した。

(山下香欧)