Blackmagic Designの発表によると、新作インディーズ映画「The Living」の撮影に、Blackmagic Cinema Cameraが使用されているという。「The Living」は、Tribeca Film Instituteによりトライベッカ映画祭で上映されることが決定しており、マンハッタン映画祭でもプレミア上映される予定。また、同作品のオンセットグレーディングおよびポストプロダクションでのカラーコレクションには、DaVinci Resolveが使用されている。

ペンシルベニア州を舞台とする「The Living」は、罪の“償い”に焦点が当てられた、ダークで、スリル満載のドラマ。主人公のテディーは、自分が酒に酔った際、妻のモリーにひどい暴力をふるってしまった事実を知り、テディーが名誉挽回を試みる一方で、モリーの母は彼への不満をあらわにし続け、弟は前科者を雇ってテディーの殺害を企てるなど、モリーは彼と寄りを戻すかどうかの決断を迫られるという内容。

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監督のジャック・ブライアン氏と撮影監督のアレクサンダー・コスティク氏は、映画全体の基調をアーストーンに設定し、ほとんどのシーンにおいて、暗く、ローキーのルックを用いたので、映画の中では照明の低いショットや夜のショットを多用している。また、クロースアップのショットも多く用いられ、激しい感情や強烈なアクションが表現されている。これらのシーンを撮影するために、コスティク撮影監督が選んだのが、Blackmagic Cinema Camera EFだった。

コスティク氏:広いダイナミックレンジを持つカメラを使いたかったんです。Blackmagic Cinema Cameraの13ストップ・ダイナミックレンジとRAW収録の機能は、私に必要なすべてを提供してくれました。他にも多くのカメラをチェックしましたが、その中からBlackmagicを選びました。

コスティク氏とブライアン氏はDaVinci Resolveをラップトップで起動させ、オンセットで最初のグレーディングを施した。その後、フッテージはニューヨークのtheColourSpaceに送られ、カラリストのファン・サルボ氏が同じくDaVinci Resolveを使用して、最終的な編集とカラーグレーディングを行った。全91分にわたる同映画はすべてRAWで収録され、240GBのSDカード3枚に保存された。

コスティク氏:Blackmagic Cinema Cameraは、画質とダイナミックレンジという点で、私たちが求めていたすべてを実現してくれました。サイズの小ささも完璧で、映画に必要なすべてのショットを撮影できたんです。特にそのコンパクトさのおかげで、リグ全体を小さくし、より小型で軽量のツールが使用できました。それでも、画質は大型カメラで得られるものに引けを取りません。

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コスティク氏:この映画では、細部までクローズアップした印象的なシーンを多く使用しています。それらのショットは非常に暗い環境で撮影したため、私たちの求めるショットを得るには照明や場所の条件が完璧とは言えないことも多々ありました。しかし、Blackmagic Cinema Cameraの持つダイナミックレンジは非常に広いため、私たちは驚くほどクリエイティブに、かつ柔軟に対応できたんです。RAWデータから引き出せる画質は本当に素晴らしいですね。Blackmagicカメラのダイナミックレンジのおかげで、映画のルックが完璧なものになりました。

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コスティク氏:夜の暗闇の中で、車内にいる主人公を撮影するのは本当に難しい作業でした。撮影中は小型の外部モニターで確認していましたが、欲しい画がきちんと撮れているかはっきりとは分かりませんでした。しかし、スタジオでカラーコレクションを始めてみると、細部のディテールまでしっかり収録できていたことが分かったんです。Blackmagic以外のカメラでは、このような結果は得られなかったと思います。

「The Living」は今年、国際映画祭サーキットをまわり、2015年に世界中に配給される予定だ。