Blackmagic Designの発表によると、アウル・シティーの最新作「Wolf Bite」のミュージックビデオの撮影にBlackmagic Cinema Camera(EF)、カラーグレーディングにDaVinci Resolve 11を使用したという。

アウル・シティーは、「Fireflies」、「Vanilla Twilight」、そしてカーリー・レイ・ジェプセンとのデュエット曲「Good Time」などで知られており、「Wolf Bite」は最近発売されたEP「Ultraviolet」に収録されている。「Wolf Bite」のビデオはティム・バトナー撮影監督、アンドリュー・ウィリアム・ラルフ監督により撮影され、オオカミに扮した人々が自転車に乗ったり、ニューヨークの街角でダンスを踊ったりしている。

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バトナー氏:撮影に先立って、アンドリューとルックに関して話し合いました。彼は映像にアニメーションを被せることを考えていたので、アーティスティックでオープンなルックを望んでいました。

最初に、アンドリューから月を撮影するよう頼まれたのですが、ちょうど満月が過ぎてしまったところだったのです。ラッキーなことに、私は冬の間に別の目的で満月を撮影していました。これはBlackmagic Cinema Cameraを使ってRAW 24fpsで撮影したものです。この映像を、ミュージックビデオの最初のシーンに使用することにし、プロジェクトのフレームレートを設定しました。

照明に制約があったため、夜中の自転車のシーンは非常に難しい課題だったという。このシーンを撮影するために、バトナー氏はカメラを携えて動いている車の後部に座り、下から作業用照明を照らした。また、同ビデオのタイムラプス映像を撮影した際、バトナー氏はBlackmagic Cinema Cameraを使って灯りをわざとピントを外して撮影し、オーバーレイ効果として使用した。

バトナー氏:800ASAの設定でも、Blackmagic Cinema Cameraは低照明条件下で非常に満足いく結果が得られました。ノイズを出したくなかったので、ASA設定を800以上にはしたくなかったのです。ポスプロの段階で露出をだいたい半ストップほど上げました。多くの街灯のおかげで、道路の美しいルックが得られましたが、DaVinci Resolveでこの効果を強調しました。

また、ウィリアム・ラルフ監督は、ダンサーたちが登場するシーンは、車のヘッドライトで照らしたようなシーンにしたいとバトナー氏に相談。これを受け、バトナー氏は即座に妙案を思いついた。彼は実際の車のヘッドライトを使用したのである。車のヘッドライトは十分明るく、Blackmagic Cinema Cameraは低照明条件でも問題なく動作したので、撮影用の照明を使わなくても優れたショットが撮れたとバトナー氏は言う。

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またバトナー氏は、いくつかのショットにオーバーレイする、オオカミのマスクの目が光る場面の撮影にもBlackmagic Cinema Cameraを使用した。グリーンバックでマスクを撮影してキーを抜き、目の部分に光のエフェクトを合成した。

バトナー氏:Blackmagic Cinema Cameraは非常に高品質なので、作業を順調に進めることができました。特に2.5K解像度のピクセル数は、光のエフェクト用に目の形をマスキングする作業にとても役立ちました。

全体を通して、素晴らしいルックの映像を撮ることができたので、Blackmagic Cinema Cameraには非常に満足しています。Blackmagic Cinema Cameraは価格も安く、低照明条件下でも問題なく簡単に使用できます。しかし私にとって何より魅力的なのは、13ストップのダイナミックレンジでRAW撮影できることです。このおかげで、ポスプロで思い通りの作業が可能になりました。

カラーグレーディングの段階では、バトナー氏はいくつかのショットでまずVisionColor ImpulZ LUTを使用してグレーディングを行い、その後DaVinci Resolve11のPower Windowおよびカラーピッカー機能を使用して様々な部分を強調した。

バトナー氏:DaVinci Resolve 11を使うことで、ダンサー達のシーンと比べて、自転車のシーンを異なる仕上がりにすることができました。ダンサーのシーンでは、ブルーのトーンを強調し、自転車のシーンではレッドとオレンジを強調してコントラストを出しました。そして自転車のシーケンスでは、オオカミの毛並みをブラウンがかったレッドにして強調して欲しいと言われていましたが、画像の特定の部分を選択してPower Windowでトラッキングできる機能は非常に便利でしたね。

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またバトナー氏は、DaVinci Resolve 11の新しいメディア管理のコピー機能も重宝したと言う。クローンツールでメディアドライブ、メモリーカード、カメラパックを複数の保存先に同時にコピーすることで、バトナー氏はデジタルカメラファイルを安全にバックアップすることができた。バトナー氏はオフィスに2つのハードドライブを所有しているが、そのうちの1台で作業している間に、もう1台にすべてをコピーしてバックアップを取った。カラーグレーディングが終了すると、バトナー氏はファイルを編集用にエクスポート。完成したプロジェクトは、クライアントの要望に応じて、Apple ProRes422(HQ)、23.98fps(1920×1080)でBitMAXへ書き出された。

バトナー氏:今回はすべてのグレーディングを編集の前に行いました。これは通常の流れとは異なりますが、今回のプロジェクトでは非常にうまく作用しましたね。DaVinci Resolveは、RAWイメージを自在に操ることができます。Resolveのパワフルなツールにとても助けられました。