宇宙プログラムで重要なミッションをこなすカメラ(ステーションカメラ)には、1970年代からはニコンのNASA仕様カメラも着任しているが、それまではハッセルブラッドカメラが全ての重責を担っていた。1962年、マーキュリー・アトラス8号(MA-8)にて初の宇宙飛行をこなし、また月面撮影を成功させたカメラブランドである。当時、NASAは宇宙撮影の重要性に気が付いていなかったという。

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宇宙飛行士ウォルター・シラー氏が、マーキュリー・アトラス8号で記念に宇宙の写真でも撮ろうと、一般のカメラ店でハッセルブラッド500Cを購入したのが始まりだ。シラー氏がNASAに持ち帰りロケットに携行した500Cは、店で購入したそのままの状態で特別に改造されたものでも何でもなかった。一つだけ言えば、宇宙に出る前にカメラ本体のレザレット部分をはがして、反射を抑える為に金属面を黒く塗っただけだ。

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そして500Cがロケットからとらえた、今までNASAでさえ見たことがない宇宙からのメッセージは、今後の宇宙研究の視野を大きく変えるものとなった。ハッセルブラッドそしてレンズのツァイス、NASAの“連合”が生まれた歴史的瞬間である。

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1962年10月3日、MA-8より撮影された、北南米の西部大西洋上の積雲の形成。シラー氏は地球6周に成功、この写真は4回目の軌道の間に撮られたもの

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MA-8/9に積まれた500Cの全部

実は、このシラー氏がロケットに持ち込んだハッセルブラッド500Cがオークションに競売される。オークションページによると、その500Cはロケットに持ち込まれた当時と同じくCarl Zeiss Planar f/2.8と80mmレンズを装着した状態ではあるが、残念ながらステーションカメラとして象徴的なエイミング機構は欠落している。


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通常のビューファインダーの代わりに非常に大型のプラスティック製のブルズアイを併用していたようだ。宇宙空間での撮影ではフィルム裏に直接、露光データを手書きで書き込んでいるなど、ユニークで興味深いものが多くオークションページにレイアウトされている。

http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2014/11/141110_proof.jpg シラー氏との最初の宇宙飛行の後、1963年、マーキュリー・アトラス9号(2名乗り)でゴードン・クーパー宇宙飛行士と一緒に2度目のミッションを果たしている。クーパー氏がオークションに出される500Cのフィルムマガジン部位が本物だと証明している
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オークションはマサチューセッツ州ボストンにあるRRオークションギャラリーにて現地時間11月13日の15時から始まる。通常のオークション同様にオンライン(電話)での参加も可能。競売参加申し込みサイトは以下より。
https://www.rrauction.com/new_register.cfm

(山下香欧)