エレメンタル・テクノロジーズ(エレメンタル)は22日(現地時間)、ラウンドDの資金調達で1450万ドルを調達したと発表した。同社としては2年ぶり。シード資金を含め現在までに4410万ドルを調達した。今回はグローバル展開の取り組みを拡大するためとしている。

ラウンドは、オーストラリア最大の通信事業者Telstra(テルストラ)と欧州の放送事業者Sky(スカイ)が先導し、既存の投資企業3社が参加した。テルストラは今回の調達額の半分以上を出資。テルストラが展開するLTEや4Gといった超高速モバイルデータサービスとエレメンタルの次世代映像配信プラットフォームを合わせ、コンテンツプロバイダの顧客力とその価値観形成をめざす。スカイでもコンテンツプロバイダおよび需要の満足度を高める新技術として開発およびグループ全体での展開に支援していく。

エレメンタルはIBCにて映像配信プラットフォーム「Elemental Delta(デルタ)」を発表。既にXBOX Liveやターナーの新しいCNNGoサービスなどの配信プラットフォームとして採用されている。最先端のコーデック技術に取り組んでいることでも認知されており、10月に開催された大阪マラソン2014でケイ・オプティコム社が3放送形式を使って4K60p/HEVCの光中継放送を実験した際、エレメンタルのライブエンコーダーを採用している。

エレメンタルによると、放送局やコンテンツホルダーはマルチスクリーン映像配信の可能性をみており、事実、実際のビジネスとなってきているという。モバイルデバイスの拡大もその方程式に加わる。米国では特に、コンテンツホルダーがダイレクトに消費者に接するエンド・トゥ・エンドのサービスを手掛ける傾向がみられる。モビリティ、IP配信とマルチスクリーンは業界でのトレンドで、今回の投資は、2015年はオンラインビデオ市場で重要な年である可能性が高いことを示唆するものと、同社は見なしている。

(山下香欧)