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日本電信電話株式会社(NTT)は、Main 4:2:2 10プロファイルに対応する、4K/60pHEVCリアルタイムエンコーダLSI(開発コード名:NARA)を開発した。
本LSIは1チップで4K/4:2:2/60p映像のエンコード処理が行え、放送局などが編集や生中継などに使う高画質な4K映像伝送に適応する。またLSI化により、既存技術でのHEVCエンコーダと比較して、基盤実装面積を16分の1、そして圧縮性能を1.5倍と、小型化と高性能化を実現した。
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NTTは、HEVCの特徴である可変ブロックサイズに適応したフレーム間予測やフレーム内予測におけるハードウェアアルゴリズムを開発し、画面内の大きな動きを検知して適応的に広い探索範囲を実現する動き予測や、動き予測の過程で段階的にブロックサイズを絞り込む高圧縮で低演算量な動き探索、映像の特徴を解析した上で事前に予測方向を絞り込むイントラ予測等のハードウェアアルゴリズムを確立した。
これら高圧縮映像エンコード処理に加え、音声エンコーダ・映像音声のトランスポートストリーム(MPEG2-TS)への多重化処理も1チップに内蔵する。本LSIを複数チップ用いることで、さらに臨場感の高い8K映像をリアルタイムエンコード処理する技術的な実現性も確認したという。
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4:2:2フォーマット映像は4:2:0フォーマットの2倍の色情報を持っているため、エンコード・デコードを複数回繰り返しても、色の劣化が発生しにくいという利点がある
NTTでは、本LSIの搭載システム装置を、今後本格化する超高精細映像の伝送サービスでの利用に向けて検証を重ね、2015年度第3四半期以降にNTTグループより市場投入する予定。
なお、NTTは本LSIを2015年4月13日から16日(米国時間)の期間中に米国ラスベガスで開催されるNAB2015の同社ブースにて展示予定だ(サウスホール/SU5021)。
(山下香欧)
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