Blackmagic Designの発表によると、小惑星探査機「はやぶさ2」の打ち上げ中継および収録に、ATEM 1 M/E、HyperDeck Studio Pro、Teranex Express、Mini Converters、DaVinci Resolveなどの同社製品が使用されているという。中継および収録は有限会社極楽映像社および株式会社ビデオサービス(主催:株式会社JVCケンウッド・ビデオテック/ジャパンケーブルキャスト株式会社、放映:Channel 4K)。
「はやぶさ2」は宇宙航空開発機構(JAXA)で開発された小惑星探査機、およびそれを使った小惑星探査プロジェクトの名称。昨年の12月に種子島宇宙センター大型ロケット発射場からH-IIAロケットで打ち上げられた。
極楽映像社の野澤氏は次のようにコメントしている。
野澤氏:プラネタリウムなどのドーム型シアターに提供するコンテンツを制作したいとJVCケンウッド・ビデオテックから企画が持ち上がりました。通常CGやアニメ作品が多いのですが、実写を取り入れたもので面白いものがないかというところから始まりました。
ドーム用コンテンツの制作にあたり、4Kで収録して8Kにアップコンすることになりました。また「はやぶさ2」の打ち上げを中継するという企画もあったので、まず4Kで安定してスイッチングできる機材は何かと探していたんです。そこでBlackmagic ATEM 1M/E Production Studio 4Kについて知り、使用を決めました。
機材選定に携わった株式会社ビデオサービスの中野氏は次のようにコメントしている。
中野氏:使用するカメラの台数がかなりあったので、スイッチャーの入力数がカメラの数だけ必要でした。ATEMは4Kに対応し、入力が10系統あり、さらにピクチャーインピクチャーができるという点が決め手でした。他にそういった機材もなかったので必然的にATEMを導入しました。
また、複数のHyperDeck Studio Proが中継のバックアップおよびインサート映像の再生用に使用された
中野氏:ATEMからのスイッチングアウトのバックアップ収録としてキャラ入りのものと、クリーンをそれぞれ収録したため、HyperDeck Studio Proを2台導入しました。また、テスト撮影も兼ねて、「はやぶさ2」の打ち上げ前にも衛星「だいち2号」「ひまわり8号」の打ち上げの収録をしました。その素材をはやぶさ2の中継時のV出し用のコンテンツとして3台のHyperDeckから再生しました。
さらに、Teranex Expressは衛星から飛んで来た回線の色を合わせて信号を整える目的で使用された。1.5G SDI×4のカメラ出力を6G-SDIに変換するMultiplex 4Kを各カメラの出力に接続。オンエアの最終出力の段階でも変換が必要だったため、合計7台のMultiplex 4Kコンバーターが使用されたという。
野澤氏:現場で撮った素材を編集したり、カウントダウン用に作った映像にエフェクトを加えたりスーパーを修正するのにDaVinci Resolveを使いました。4Kを簡単に扱えるソフトウェアは、そんなにありません。現場に編集機を持ち込むこともできないので、その点DaVinci Resolveは手軽に4K編集ができました。
DaVinci Resolveで編集された映像は、HyperDeck Studio ProでSSDにRecされ、中継時のV出し用の映像として、再生用のHyperDeckから再生された。
中野氏:中継の際、V出し用の動画コンテンツはHyperDeckから出しました。HyperDeckからの映像をATEMのDVEで縮小させて中継映像にはめ込む必要もあったのですが、そういったこともATEMで簡単にできました。グラフィックスなどの静止画コンテンツはATEMから出してキーで抜いて使いました。