日本民間放送連盟(民放連)の報道委員会は今月27日、法制化に向けて議論が進められている小型無人機(ドローン)飛行規制について、国民の利益に資する正当な業務の妨げになる内容が含まれていることを憂慮し、意見書を関係議員に提出したことを発表した。
現在、国会では「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等及び外国公館等の周辺地域の上空における小型無人機の飛行の禁止に関する法律案」の要綱をめぐり議論が進められている。国会議事堂や首相官邸、外国公館などの重要施設とその周辺300mに規制がかかることで飛行禁止区域が広範囲に設定される可能性がある。報道、学術、設備点検、測量、映像制作など国民の利益に資する正当な業務とテロ行為を一律してドローン使用者と捉えており、「取材・報道活動に配慮した規定がなく、非常時における国民の情報アクセスの妨げになるおそれがある」と指摘。そして国土交通省が進めている法規制を考慮していない点や、関係各方面からのヒアリングや委員会審議が行われないまま成立させようという動きに対しても「拙速との批判を免れない」としている。
意見書には、民間放送事業者の取り組みについても記載されており、すでに自主ルールを策定した社においても、状況や技術の進歩に応じて対応するとしている。民放連では国交省航空局への機体登録や操縦者の技能保証の確立などの法整備の議論に参画するとともに、安全運行に向けたルール策定に取り組むとしている。
ちなみに米国でも似たようなアクションが行われている。現在、国家電気通信・情報管理(NTIA)が、米連邦航空局(FAA)の規制に加え、放送事業者およびドローン関連事業者へのルールとガイドライン策定の最終決定の過程にある。全米放送事業者協会(NAB)とラジオテレビデジタルニュース協会(RTDNA)は共同で、規制が報道機関の取材活動を不当に制限し不利を与えないよう、修正第一条の権利を侵害しないことを確認するためにNTIAへ請願書を提出している。
(山下香欧)