FOXスポーツ(FOX)は、全米オープンゴルフの中継放送にバーチャルリアリティ(VR=仮想現実)の世界を取り入れた。常に先進的な放送技術を実放送に取り込むことで知られるFOXスポーツ。今回はワイヤレスのスーパースローモーションカメラや4K、ドローンカムと現場の撮影ツールも趣向を凝らしているが、視聴側にはVRを体験してもらうことになった。
NHLやNBA、そして昨年のNASCARでFOXスポーツと実績のあるNextVRのシステムを採用し、「放送界初のマルチカメラVR中継」を実施。Samsung Gear VRを用意して、トーナメント大会のフィールドでギャラリーと一緒にラウンド体験してもらう特別イベント会場をゴルフコース周辺に設けた。1日100名~300名の来場者があったという。FOXは同時にニューヨーク、ロサンゼルス、バンクーバーのFOXスポーツの施設でも実施し、約4~6Mbpsでライブストリーミングされた。体験者の話によると、VR空間では選手から10メートルも離れていない位置から試合が見られ、ゴルフボールがカップに入る細やかな動きまで目の前で確認できたという。
NextVRの360度3Dカメラシステムは、6台のRED EPIC DRAGONをリグに搭載したもので、昨年のIBCやNABでお目見えしている。今回のゴルフトーナメントVRでは、3Dリグに2台のREDカメラを実装したシステムを5セット用意した。視野角度は180度で展開。VRアプリには、5台のカメラビューの切り替えやライブスコアのPinPといったリアルタイムグラフィックも組み込まれた。
今回のライブストリーミング体験を逃しても、NextVRがOculus RiftやGearVRといったVRヘッドセットで体験できるよう、近くアプリケーションを公開する予定という。
(山下香欧)