かつて携帯電話機の大手であったノキア・テクノロジーズ(以下:ノキア)から今月28日、全天周パノラマカメラ「OZO」が、米ロスアンジェルスにあるハドソンロフト・スタジオにて発表された。

従来のパノラマカメラシステムは、汎用のカメラ数台を専用リグにマウントして使用するものが多いが、OZOは2K×2K(2048×2048)の解像度を持つ8個のレンズが搭載された、球体に近い外姿を持つレンズ一体型のカメラとなっている。レンズのほか、8個のマイクロフォンも搭載され、映像と同様に円周で音声をキャプチャーできる仕組みになっている。

専用のソフトウェアにより、ヘッドセットを利用しなくてもカメラのファインダーから映像をリアルタイムで再生できるように低解像度でレンダリングを行うことができるという。今後はVRヘッドセットに直接ライブストリーミングすることができるように開発を進めるという。正式なリリース時期は発表していないが公式サイトでは今秋と提示している。

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ノキアは、ハリウッド地区にVR制作専門のスタジオを開設する予定のJauntスタジオが発表した独自開発のVRカメラと同様に、フィルム制作プロダクションやライブプロダクション向けとしてリリースする方向で進めている。実はこのJauntスタジオもOZOを最初の出荷で入手することを公言しているという。発表会で公開されたテストクリップの1つはノキアの開発パートナーである3ality Technicaの社長で制作プロデューサーでもあるSteve Schklair氏が携わっている。米報道ハリウッドレポーターによると、Schklair氏は最近新しいVRプロダクションを立ち上げているという。

OZOの開発の背景には、ノキアテックと呼ばれるノキアの中でNokia N1タブレットを設計したAdvanced Technologies部門がいる。同社はMicrosoft社に携帯電話を含むハードウェア事業を売却してしまったが、今のノキアテックでも発表したOZOのほかにAndroid OSの携帯電話を今後手がけていく予定だという。

(山下香欧)