米Appleが独自の映像コンテンツ配信サービスを始めるにあたり、オリジナル番組制作に向けて動き始めたと、ブルームバーグが関係筋の話として報じた。来週のApple TVやiPhoneの次世代モデルの発表を前に、一挙に米報道網を賑わせている。
報道によると、同社が計画しているという来年の映像コンテンツ配信サービス開始に向けて、ハリウッド業界とAppleの資金で独占的販売権利のあるオリジナル番組を制作できないか、交渉しているという。つまりNetflixと同じコンテンツ戦略だ。また平行して、Amazonのようにインハウスにプロダクション部門を設立する計画も浮上している。
実はAppleは7月に、英国BBCの人気番組Top Gearに出演していた俳優3人にオリジナル番組への出演をオファーしていたが、Amazonに先を越されてしまっている。
AppleはiTunes Storeの成功により、音楽市場での販売形態の常識を覆し、今や世界で最大の音楽販売記録を持つエコシステムを確立した。視聴デバイスを持った企業が今度は映像コンテンツのサービス展開に挑むことになれば、既に映像コンテンツ配信サービスを世界的に広げているNetflixやAmazon、Huluそして視聴デバイスと配信サービスを持つソニーやNanoTechなどがAppleの動きを慎重に見ているだろう。そしてNetflixらのOTTサービスの登場で加入者数が減少した有料テレビ事業者にとっても、脅威の存在となる。
Appleが映像ストリーミングサービスを始めるという話は過去に何度も浮上しており、本来は年内に開始する方向で進めていた。ライブによるリニアTV配信についても、キー局らとコンテンツライセンスの交渉で難航しており、こちらも来年に持ち越しされるだろうとブルームバーグでは見ている。
しかし映像配信サービスをAppleが始めるにあたり、物理的なネットワークインフラとストレージ許容量が最大の懸念材料だ。AppleではアカマイのCDNサービスを最大限に利用しているが、ライブ映像サービスを始めるには負荷がかかり過ぎる計算になる。ネットワークの負荷軽減、ストレージ許容量についてのスマートなソリューションが急がれる。
(山下香欧)