コンシューマー・エレクトロニクス協会(CEA)は、ハイダイナミックレンジ(HDR)互換のビデオディスプレイの定義を制定した。CEAはメーカーをはじめコンテンツプロバイダーなど、関連する企業と提携してHDRの相互運用性への表示特性を確立させることで、小売業者や市消費者側の混乱を防ぐ意向だ。この動きは前回、4K UHD技術の規定を表す認定ロゴを作成したことの延長線にある。

先進的に市場に投入される4K超高精細テレビは、HDRや広色域、ハイフレームレートといった様々な次世代技術を実装してくる。今回の自主的な互換性ガイドラインで、コンテンツ開発側からディスプレイまでのエコシステムにおいて一貫性と透明性が置けるとしている。CEAが今年7月に発表した米国家電販売予測のレポートによると、2015年の4K UHDディスプレイの出荷台数は2014年総計から210%増の440万台で、収益は136%増の53億ドルに達するという。

CEAのビデオ部門が策定したHDR互換ディスプレイの仕様条件は以下の通り。

  • CEA-861-F(CEA-861.3の拡張版)に定義されているHDR信号に対応できるインターフェイスが少なくても1つ含まれていること
  • 非圧縮ビデオにおいてCEA-861.3準拠のHDRメタ情報を受信、処理できること
  • IP、HDMIといった配信ソースから受信するHDR10メディアプロファイルに対応、処理できること。さらに他のメディアプロファイルも対応できることが望ましい
  • 画像をレンダリングする前に適切なEOTF(電気光学伝達関数)を適用できること

HDR10の定義は以下の通り。

  • EOTF:2084 SMPTE ST
  • カラーサブサンプリング:4:2:0(圧縮ビデオソースの場合)
  • ビット深度:10ビット
  • 色原色:ITU-R BT.2020
  • メタデータ:SMPTE ST2086、MaxFALL、MaxCLL

(山下香欧)