米ケーブルテレビ大手コムキャストが、映画テーマパークのユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を運営する株式会社ユー・エス・ジェイを買収する。コムキャスト傘下のNBCユニバーサル(NBCU)を通して、ユー・エス・ジェイ株式の過半数51%(1,830億円)を取得することで主要株主のゴールドマン・サックスらと合意した。ユー・エス・ジェイはユニバーサルからライセンスを受け、2001年に大阪に国内版ユニバーサルスタジオをオープンした。当初からNBCユニバーサルとの資本関係はなかったが、今回の買収を受けて大本がUSJ運営の主導権を握る格好となる。

ユー・エス・ジェイ全体の評価額は60億ドル(7,200億円)。同社は一度、東証マザーズに上場していたが、経営悪化を理由に2007年には上場廃止された。しかし今月中に東京証券取引所への再上場を目指し、その再上場前に事業に関心を示したNBCUに対して持ち分を一部売却する方向で進めていた。検討していた株式の新規公開はいったん取り下げることになる。

コムキャストの会長兼最高経営責任者ブライアン・L・ロバーツ氏は「この投資は、当社の株主のために価値を創造し、国際的に成長を継続する大きなチャンス」と、コミットメントを表している。NBCUの最高経営責任者スティーブ・バーク氏は、今回の投資がコムキャスト/NBCUテーマパーク事業を強化する戦略に完全に適合しており、今後5年間で、USJに様々なアトラクションを展開して日本での成功を達成させるとしている。

ユニバーサル・パークス&リゾーツは、2004年からユニバーサルスタジオ・ジャパンの最高経営責任者(CEO)を務めているグレン・ガンペル氏の引退を発表、新しいCEOとして、ユニバーサル・パークス&リゾーツの最高財務責任者であったジャン=ルイ・ボニエ氏を指名した。

USJは大元テーマであるハリウッド映画だけにこだわらず、日本の人気ゲームやアニメを取り入れることでローカルの集客効果をあげてきた。またユー・エス・ジェイは沖縄県において、2020年に開業を目指して国営海洋博公園で計画する新テーマパークの建設計画も進めていた。ロイターによると、コムキャスト側は沖縄でのUSJ建設については、コメントするには時期尚早としてコメントを避けた。

(山下香欧)