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Blackmagic Designの発表によると、オーストラリアに拠点を置くポストプロダクションスタジオSoundfirmのトリッシュ・ケイヒル氏が、メルボルンおよびシドニーでDaVinci Resolve Studioを使ってオーストラリア映画「The Dressmaker(原題)」のグレーディングを行ったという。

「The Dressmaker」は、女流作家ロザリー・ハムによる同名の小説「The Dressmaker」をベースに、1950年代を舞台にヒロインであるマートル・“ティリー”・ダンネイジの姿を描いている。ティリーは10才の時に殺人の濡れ衣を着せられ、母親モリーから家を追われたが、その母の看病を看病するため故郷に戻ってきた。プロの仕立屋となったティリーは、彼女の作る最新流行の服で街の人々を変身させていく。そしてその過程で、かつて彼女に殺人の濡れ衣を着せた人々への復讐を果たすというストーリー。同作は、スー・マスリンプロデュース、ジョスリン・ムーアハウス監督、そしてリアム・ヘムズワース、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジュディ・デイヴィスらが出演している。

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台車に乗せたカメラを穀物貯蔵庫に徐々に近づけながら撮影したショットでは、夜のシーンを昼間に撮影した。ケイヒル氏はこのカメラの動きを追いつつ、星の輝く夜空を作成するという課題と向き合うことになった。

ケイヒル氏:DaVinci Resolveの超高速トラッカーと直感的キーヤーを使用することで、画像の様々な部分をコントロールすることができたので、時間をかけずに万事うまくいきました。

次のシーンは、2人のメインキャラクターが星を見上げながら夜空について語るシーンだったので、ショットには星が必要でした。多くの明るい点を少しぼかした1ピクセルのウィンドウを多数作成し、これらのウィンドウをあちこちに配置しました。そして明るさにランダムにメリハリをつけて星空を作成したのです。スチルフレームをチェックする段階では、この方法は非常にうまくいったということで全員の意見が一致しました。

しかしこのシーンを実際に再生してみたところ、台車に乗ったカメラが前へ動いているため、これらの星が画像から浮いて見えることが分かった。

ケイヒル氏:幸い、DaVinci Resolveのシェイプトラッカーとスタビライザーツールは非常に優れているため、デフォルト設定のスタビライザーツールをリアルタイムで1度使用しただけで、星々を夜空に完全に溶け込ませることができました。もちろん、台車によるエフェクトが損なわれることはありませんでした。

DaVinci Resolve Studioのトラッカーは、同作のリッチかつ色調に飛んだルックを残しつつ、俳優の目や表情による演技や繊細な動きを保存する際にも威力を発揮したという。

ケイヒル氏:出演俳優の何人かは美しい青い瞳を持っていますが、温かみのある照明のシーンでこの美しさを保持するのは時に非常に難しいのです。ここでもDaVinci Resolveのトラッカーが非常に役立ちました。作品を通して確認し、必要に応じて場面やカラーをハイライトしつつ、全体的にはリッチかつビビッドで魅力的なルックを残せるとは、まさに良いとこ取りと言えます。

シェイプトラッカーを使用すれば、カラリストはシーンの調和と美しさを残し、俳優の演技をそのままに、ストーリーを盛り上げる瞬間にわずかに注意を集めることができるようになるのです。このスマートかつスピーディーなツールがなければ、限られた時間枠の中で厳しい優先順位リストに従って作業しなければならなかったことでしょう。本来、これらの作業は非常に時間がかかるのです。今では、スケジュールがパンクしないかどうか頭の中で計算せずとも、難しい仕事でもためらわず引き受けられるようになりました。

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Soundfirmはメルボルンとシドニーのどちらにも数多くのDaVinci Resolve Studioスイートを有しており、同作のオンライン編集にもDaVinci Resolve Studioを使用した。Soundfirmのデジタルイメージ監督であるジョナサン・バートン氏は次のようにコメントしている。

バートン氏:DaVinci Resolveシステムの柔軟性により、このDIポストワークフローの基幹を形成できました。最終的なマスタリングまで、プロダクションのすべての段階で4KRAWファイルを残したいことを考慮すればなおさらです。

「The Dressmaker」のオフライン編集が行われたメルボルンのSoundfirmでは、DaVinci Resolveは主要なコンフォームツールとして使用されていました。編集の過程で映画をコンフォームできるということは非常に大きなアドバンテージです。オンラインおよびオフラインのプロダクションを行き来して、最終的な作品が仕上がるまで、すべての編集の微調整を反映させることができるのです。次に、DaVinci Resolveを使ってすべてのVFX I/Oを扱い、一時的なグレーディングと共にVFXチームに渡すデリバリーを作成し、VFXの最終盤がオンラインに戻されました。

最終的にコンフォームされたDaVinci Resolveプロジェクトは、シドニーのフォックススタジオにあるグレーディングシアターに送られ、DaVinci Resolveのコンソリデートクリップツールを使ってすべてのメディアの移動、スタジオ間でのトランジションの管理が行われました。