
© UNIVERSAL J / RX-RECORDS
Blackmagic Designの発表によると、バンド[Alexandros]のミュージックビデオ「Dog 3」の撮影にBlackmagic URSA、Blackmagic Production Camera 4KおよびBlackmagic Pocket Cinema Cameraを使用したという。同作品は株式会社セップで制作された。
[Alexandros]は2013年以降に発表した楽曲のうち、4曲がチャートのトップ10に入るなど、人気の高いロックバンドであり、「Dog 3」は同バンドの最新アルバムに収録されている曲のひとつ。今回の作品は、バンドのライブパフォーマンスに加え、同バンドのドラマーが黒服の悪役により、次第に巨大化していくというストーリーで構成されており、バンドのメンバーが初めて演技に挑戦している。
同ミュージックビデオはセット・アニメーション・VFXを駆使して、夜の屋外および屋内のシーンやライブシーンなど様々なロケーションで撮影されている。この撮影のために、高画質でポストプロダクションでも扱いやすい素材の撮れるカメラが必要だった。また、撮影日が1日しかない中で、効率良く撮影を進めていけるような点もカメラ選定において重要だったという。
同ミュージックビデオの監督務めた、株式会社セップのディレクター瀬里義治氏は次のようにコメントしている。
瀬里氏:テンポの速いビデオでカット数も多くなることを考えて、マルチカメラで撮影しました。複数のカメラを使うと後処理で、色合わせをする必要があるので、なるべく同じメーカーのカメラで揃えたいと考えていました。その中で小回りのきくBlackmagic DesignのProduction Camera 4KやPocket Cinema Cameraは最適だと感じ、さらにもともと興味のあったURSAも使うことにしました。
メインのカメラにはURSAとProduction Camera 4Kが使用され、Pocket Cinema Cameraは、作品中のライブシーンを撮影する際に、小型のクレーンに搭載して撮影する部分で使用された。
瀬里氏:Blackmagic Designのカメラは、いろいろなタイプが揃っているので、URSAが入っていけないような狭い場所ではProduction Camera 4Kを使うなど、状況によって使いわけることもできました。Blackmagic Designのカメラはメニューがシンプルで、無駄なものを削いでいる点が気に入っています。また、今回複数のカメラで撮影しましたが、メニューが一緒だったのでその点も使いやすかったです。
URSAとProduction Camera 4Kはグローバルシャッターを搭載している点も、今回とても役立ちました。特にライブシーンでは、かなりカメラをかなり振っていたのですが、歪みのない映像が取れました。また、Pocket Cinema Cameraに関しても、この小ささで戦力になる映像が撮れる点に驚きました。通常、こういった小さなカメラだと、グレーディングで色を出していくと破綻するのですが、このカメラに関しては全く問題ありませんでした。

© UNIVERSAL J / RX-RECORDS
瀬里氏:今回仕上げはポストプロダクションでグレーディングを行いましたが、その前の段階までは自分でDaVinci Resolve Studioを使ってルックをある程度作っておきました。どちらかというと色をよく出していく方向にグレーディングすることが多いのですが、Blackmagic Designのカメラの素材はダイナミックレンジが広いため、彩度やコントラストを上げても破綻しにくいです。暗部に色をのせると味のある画になるので、破綻することなく、暗部にどれだけ色がのるかは重要です。Blackmagic Designカメラの素材は、中間から暗部へのレンジに色が綺麗にのりやすいと感じます。
同ミュージックビデオは、カット数が約140カット以上もあり、その中に合成用のグリーンバック撮影やライブシーンなども含まれている。撮影は合成用のグリーンバック撮影も含め、全て1日で行われた。
瀬里氏:とにかくカット数が多かったので、テンポよく撮っていかないといけない状況でした。もちろん撮影・照明・制作スタッフの頑張りもありますが、Blackmagic Designのカメラがなかったら、ここまで撮れなかったと思います。カメラの取り回しがしやすく、また複雑なカメラの設定がないため現場ではシンプルに画作りに集中できました。さらにマルチカメラでどんどん撮影を進めていけたので今回の作品にはとても合っていたと思います」と瀬里氏は結んだ。

グリーンバックでの撮影風景
© UNIVERSAL J / RX-RECORDS

合成後
© UNIVERSAL J / RX-RECORDS
