ノキアは、360°VRカメラ「OZO」を正式に発表した。本体価格は6万ドルで、映像プロダクションやスタジオといったプロフェッショナル用の位置付けだという。今年6月に行ったプロトタイプのお披露目会で公言していたように、OZOはライブストリーミングが可能だ。NBAの試合やMTVのビデオミュージックアワードのシーンで行われたVRライブストリーミングは180°視野が限界だったが、OZOではシームレスな全天周パノラマのVRライブストリーミングが可能だという。
8個の同期した2K×2Kセンサーによるビデオセンサーアレイを持ち、シームレスな全天周360×180映像を生成できる。各レンズは、f/2.4口径、視野角は195°で、ISO感度400、10ストップのダイナミックレンジを持つ。撮影距離は50cmから。映像だけではなく、オーディオも8個の内蔵マイロフォンにより、全天周サラウンドとしてキャプチャする。本体には500GBのSSDストレージを装備し、記録時間は45分。マスターフォーマットはMOVコンテナのOZO VRで、8チャンネルのRAWビデオ(ウェーブレット圧縮)と8チャンネルのPCMオーディオが含まれる。映像合成用の出力ファイル形式にはDPX(8K×4K 10bit)、オーディオはMP4が可能となっている(OZO専用の無償アプリケーション「OZO Creator」で行う)。
OZOは、ライブストリーミングに加え、キャプチャした映像を即座に再生できる能力も持つ。従来のVRカメラは、複数の汎用カメラを専用のリグにマウントしたものが多い。そのため、パノラマになった映像の再生は、個々のカメラで撮った映像をつなぎ合わせる編集処理後になるので、その場でプレビューというわけにはいかなかった。OZOでは、低解像度のプロキシを内部生成することで、待たずに個々のカメラソースを再生できるという。カメラの制御は内蔵Wi-Fi経由でOS X v10.10(Yosemite)を搭載したMacからリモートで行うことができる。外部への出力インターフェイスには3G/HD SDIとDINコネクタを持つ。
本体にはファンレス冷却システムを採用。バッテリーは充電式のリチウムイオン電池で、500GBのSSDストレージと一緒になったカートリッジをカメラの後部に取り付ける。
リムーバブルのカートリッジ(5000ドル)。このカートリッジに別売のメディアモジュール(右:2500ドル)を差し替えることができる
ハンドルやトライポッドアダプターも用意される
現地時間2015年11月29日に、ハドソンロフト・スタジオ(カリフォルニア・ロサンゼルス)で開催されたOZOのお披露目会では、ノキアとパートナーシップを結んでいるキャピタルレコーズの施設屋上でのライブバンドの模様を、OZOを通して約11キロ先にあるスタジオへ、VRライブストリーミングするパフォーマンスも行われた。ストリーミング配信システムには、アカマイのCDNとエレメンタルテクノロジーズのライブエンコーダーシステムが使われた。
OZOの発売は来年の第1四半期を予定する。ノキアのハリウッドオフィスでは、レンタルサービスも検討しているようだ。市場で360°対応VRカメラ製品はOZOに続き、Bubl、Jaunt、GoProやLytroなどが来年に登場してくると思われる。
OZOを搭載したドローンで空撮も可能
(山下香欧)