Blackmagic Designの発表によると、ワールド・サーフ・リーグジャパン(以下:WSL Japan)がATEM 1 M/E Production Studio 4Kを始めとするBlackmagic Design製品を使用してサーフィン大会のストリーミング配信を行っているという。

ワールド・サーフ・リーグ(以下:WSL)は米カルフォルニア州にヘッドクォーターを置くプロサーフィンの国際的な団体で、アメリカ国内ではニューヨーク、南カルフォルニア、国外では日本、オーストラリア、フランス、南アフリカ、ブラジル、ハワイにもリージョナルオフィスを構えている。WSLは「ドリームツアー」と呼ばれるプロサーフィンの国際大会を開催しており、世界中のトップサーファーたちがF1のような感じで世界各地7つの海を回って試合をしている。そのドリームツアーへの出場をめざし、日本国内でも年間10試合の大会が開催されている。アジアを統括するWSL Japanでは、それらの大会の運営に加えて、2006年から大会の模様を熱狂的なサーフィンファンに向けて配信している。WSL Japanで配信業務を担当しているテクニカルマネージャーの石森順一氏は次のようにコメントしている。

石森氏:今までは、SD対応の機材を使っていたのですが、よりエンターテインメント性を高めるため、HD化したいと考えていました。私たちの団体の海外オフィスのスタッフが配信業務にBlackmagic Design製品を使っていて、機材選定の時に彼らから推薦されたんです。

WSLからの推薦もあり、石森氏が導入したのがATEM 1 M/E Production Studio 4Kスイッチャー、Intensity Pro 4K、そしてMini Converter。

石森氏:ATEMスイッチャー以前の機材に比べると、画質が向上したのはもちろんですが、ピクチャーインピクチャーなどができて機能が豊富です。使い方も簡単なので、独学で覚えることができましたし、コンパクトなので会場でシステムを組み上げるのも少人数で済みます。システムのセットアップは大体30分程度で完了してしまいますね。

151208_WSL_pip

トーナメント会場は試合ごとに場所が変わるため、機材一式を持ち込んで配信用に用意された場所にシステムを組んでいく。会場は浜辺または浜辺駐車場で、事務所になるトラックを使ったり、トラックがない場合は浜辺に仮設スタンドを設置して、その上にテントを張り雨風に備えて配信を行っている。通常は民生用のカメラ2台体制で配信を行っているという。

石森氏:民生用のカメラを使っているため、SDIの端子が搭載されていません。SDIに変換してATEMスイッチャーに出力を送るためにMini Converter Analog to SDIとHDMI to SDIを使用しています。また、画面上に選手の名前やスコアを表示するためにPCからグラフィックを送り、ATEMでキーイングしています。さらにMini Converter SDI to Analogを経由してATEMと民生用のHDDレコーダーを繋げて、ジャッジが選手のライディングを再確認してスコアを決められるように簡易的なリプレイシステムを構築して使っています。

151208_WSL_haishin

ATEMのプログラム出力はIntensity Pro 4Kを搭載したPCにHDMIで接続して、wirecastで配信をしている。大会自体は朝から始まり、大会終了までかなり長時間となるが、WSL Japanでは大会の様子を余すところなく配信している。