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撮影現場で意識的に1メーカーに統一してカメラを揃えることはあるだろうか?ARRI、キヤノン、ソニー、パナソニック、REDなど独自Logガンマを持っているため、現場では最終映像のルックがモニターで確認できずに作業が進められている。様々なカメラから来るRAWやLog映像のままモニターで観ることが多く、最終的なルックはポスト編集で施すというワークフローが多い。
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ここでTeradekより、カメラからの映像信号にLUT(Look Up Table)を適用し、ワイヤレスでオンセットグレーディングに繋げられるボックス「COLR」が登場している。COLRは、カラーコンバーター機能とCDL/1D/3D LUTカラーを1つのミニボックスに収まっており、加えてSDI/HDMIのクロスコンバート、720/1080(i/p)の解像度変換が行える。富士フイルム社のIS-miniのワイヤレスバージョンとも言えよう。COLRはミニコンバーターでありながら、ビルトインLUTを持たないカメラ機種からディレクターが見ているiPadまで、ネットワークに繋がったデバイスすべてのカラースペースを管理する機能を持つ。
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Webブラウザでネットワーク内にあるCOLRの管理および設定を行うことができる
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様々な機種のカメラを使って撮影する現場では、カメラのカラーマッチングをして最終映像をモニターにプレビューすることができる。あわせてテストパターンを生成し、モニターのキャリブレーションが可能だ。現場にあるマルチカメラに1つのルックを適用し、また撮影中にカラーグレーディングを施すことで、ポスト作業の時間削減にも貢献できる。
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LiveGrade上でCOLRを選択
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Pomfort LiveGradeに適応しており、LiveGradeでカスタマイズしたLUTをCOLRに転送し、プリ設定値に加えることができる。LUTのプリ設定数は最大33ポイントまで。COLRに戻したLUTでマルチカメラの映像信号の色を即座に統一できるため、ライブイベントでも活用できるだろう。
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Foolcontrol app
REDの場合はFoolcontrol app、そしてARRIのmobiel UIからワイヤレスでカメラコントロールが行えるので、クレーンにマウントしたカメラのカラーバランス調整にも便利だ。ドローンカメラのカメラコントロールとしても機能を発揮する。
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COLRはオンライン販売で999ドル。Teradekでは、近いうちにサードパーティ向けにCOLRのAPIを公開する予定をしているという。
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またCOLRに合わせてLogメタデータも記録できるSSDベースのプロキシレコーダーシステム「LOKR」も発表しており、COLRとシステムパッケージ化もしている。LOKRはH.264プロキシを生成してワイヤレス伝送する機能を持つ。LOKRをワークフローに組み込めば、現場でのライブビューから遠隔地でのデイリーにも役立つ。LOKRの発売は今春を予定している。
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COLRを使ってマルチカメラのルック管理可能なワイヤレスワークフロー案。TeradekのトランスミッターBoltを使った映像信号伝送も含む
COLR開発案をしたDITのジェミー・メツガー氏によるCOLRを使ったワークフローの説明
(山下香欧)
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